ep88 一方、シヒロたちは...(シヒロ視点)
◇
小説を書くために旅をしているぼくは、旅先で魔剣使いさまと出会いました。
そしてぼくは、その人に心を奪われてしまいました。
今ではその人と一緒に旅をしています。
魔剣使いさまとの旅はとても刺激的です。
それはぼくの好奇心を満たすに充分すぎます。
ですが、今回のそれは、ちょっといき過ぎたかもしれません......。
「ま、魔物!?」
「こんなところになぜ!?」
「こりゃあシャレにならんぜ!」
なんと、祭りに浮かれる街の上空を、翼を備えた大型の鳥獣系の魔物数頭が重々しく飛行しているのです。
さらに、街の建物の屋根の上には不穏な輩の姿がうようよと蠢いています。
「あ、あれは!」
「あの仮面......フリーダムだぜ!」
「どうなってんだ!?魔物とフリーダムが同時にだと!?」
平和祭の真っ只中、もっとも平和祭にふさわしくない者どもが現れました。
しかも、ちょうどクローさんが女の人と一緒にぼくらから離れていってしまっている時です。
「ど、どうしよう!」
ぼくはアワアワとして動けなくなります。
「嬢ちゃん!おれたちから離れんなよ!」
「大丈夫だ!きっとダンナは気づいているはずだ!」
トレブルさんとブーストさんは即座に手に持った酒を投げ捨てて、ぼくに言葉をかけてくれました。
「は、はい!でもどうするんですか?すぐに街を抜けることはできないと思いますし...」
「とりあえず身を守りつつ少しでも安全な場所に移動するぜ!」
「そんであとは時間待ちだな!」
「時間待ち?」
「ひとつはダンナ待ちだが、もうひとつは...」
「国際平和維持軍だ!」
「そ、そっか!さっき三人組の方もいましたもんね」
「平和祭の最中にフリーダムの連中と魔物の群れ。どう考えても勇者軍案件だぜ!」
「だな!下手すりゃあ隊長クラスが直々に来るかもしれねえ!」
「でも、そうなるとクローさんが!」
「そんなもんダンナは十二分に承知だろ!」
「おれたちは勇者軍とフリーダムがやり合ってる隙に逃げりゃあいい!切り抜け方はダンナが一番よくわかってんだろ!」
その時です。
ドガァァァン!という爆発音が街に鳴り響きました。
続いて別の方向からもドガァァァン!
また別の方向からもドガァァァン!
さらに別の方向からもドガァァァン!と爆発音が立て続けに鳴り渡りました。
「ま、魔法!?」
「もうおっ始めやがったか!」
「こりぁあさっさと移動し始めたほうが...」
ブーストさんが言いかけた時です。
「あっ!魔物が一頭、降ってきます!」
「ん?」
「人が、乗っているのか?」
一頭の巨大な鳥獣が降ってきたかと思うと、その上に立っている人間の姿が僕らの目に映ります。
「おーおー。くだらねえ祭りにうじゃうじゃいやがるなぁ」
吐き棄てるように言葉を放つその人は、フリーダムの仮面と服を纏い、片側だけに生やした紫色の長髪を風になびかせています。
「お、おい。あれ、まさか......」
「いや、うそだろ。マジかよ......」
トレブルさんとブーストさんがにわかにガタガタとおののき始めました。
「トレブルさん?ブーストさん」
「嬢ちゃん。ありゃあ多分......」
「キラースだ」
「そ、その人って!」
「元ダムドのボスで、現フリーダムの幹部だ」
「しかも相当イカれたな...」
明らかにトレブルさんとブーストさんの顔面が蒼白しています。
「そ、そんなに危ない人なんですか...?」
「あれは破壊が趣味みたいな人だ。しかもキラースと勇者軍がぶつかるってなれば...」
「完全に戦争だな。しかも今日は祭りで人がごった返してる。悲惨なことになるぜ」
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