ep76 魔法剣士
* * *
「市民への被害は?」
「今のところ確認できません」
「ということは、被害はこの付近の建物の損壊だけか」
「そこの全壊している建物は酒場だったようですが、奇跡的に被害者はゼロで...」
「今回〔フリーダム〕は、街を襲撃したのではなく、ある特定の人物を襲った...違うか?」
美しき女騎士は仰向けに倒れている緑髪の男・シヴィスへ剣を突き立てて問いただした。
「クックック......こりゃどうも、お目にかかれて光栄だぜ......偉大な魔法剣士さん...」
「貴様らが狙う特定の人物......魔剣使いか?」
「んなことよりよ...はやく手当てしてくれねえか......じゃねえと死んじまうぜ......」
「貴様らのような悪党が命乞いか?反吐が出る」
「......」
「気を失ったか。おい!コイツを運んでいけ!」
「了解です!」
クローたちが街から去ったすぐ後、国際平和維持軍の部隊が現場にたどり着いていた。
鮮やかな紅き長髪をなびかせて颯爽と指揮をとる女隊長に率いられて......。
「カレン隊長!」
「なんだ?」
「目撃者の証言によると、銀髪の剣士がたった一人で〔フリーダム〕と戦っていたそうです!」
「やはり魔剣使いか」
「おそらく!ただ、今回は新たな情報もありまして」
「言ってみろ」
「銀髪の剣士は、十代の子供を連れていたとのこと!」
「仲間、なのか?」
「よくわかりませんが」
「で、結局今回も行方は知れずと」
「申し訳ありません!」
「構わん。引き続き捜索をつづけろ」
「了解!」
女騎士は剣を納めると、現場を見まわしながら呟く。
「〔フリーダム〕はもちろん、魔剣使いの存在も看過できない。〔戦場の厄災〕との言い伝えもあるぐらいだ。はたして本物なのか紛い物なのか......いずれにせよ、必ず私の手で捕らえる」
彼女は正義にあふれた目を据えてぐっと拳を握った。
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