ep61 屋敷③
「魔剣使い!貴様が斬るは魔法の炎!屋敷が燃えて発生する炎は魔法ではない!これなら貴様でも斬れまい!」
ゲインはさらに炎の魔法を部屋中に向かって連発した。
足元から火がボーボーと立ちこめる。
俺はいったんシヒロを抱きかかえた分、部屋から逃げるための初動が遅れたが、
「クローさん!」
「大丈夫だ!しがみついてろ!」
出口まで一直線にダッ!と跳んで脱兎のごとく部屋から飛び出した。
その瞬間だ。
「!!」
飛び出しざまの俺たちに向かって、計っていたように両サイドから何者かが挟み撃ってくる。
「ハイ、魔剣使い狩り〜!」
「死ねやコラ!」
後方は燃えさかる部屋。
前方は廊下の壁。
左右からは息つく間もない襲撃。
俺はシヒロを抱きかかえた状態。
どうする?
問題ない。
「特殊技能〔ニュンパ・グレイズ〕」
ガキィィン!という金属音が響く。
その場で旋風の孤を描く斬閃がヤツらの攻撃を弾いた。
「なに!?」
「防がれた!?」
敵は一転してサッと飛び退いた。
「よし」
〔ニュンパ・グレイズ〕は攻防一体の技。
ゆえに守備に徹して放てば優れた防御技になるのは道理。
「うぅぅ〜、み、耳が...」
シヒロがうめくように呟いた。
「シヒロ。いったん降ろすぞ」
「は、はい」
「すぐに階段に向かって走れ」
「え?でも敵が」
「いいから走れ」
「わ、わかりました」
シヒロは床に足をつけると、それとなく俺へコクッと頷いてみせてから、ダッと廊下を駆けだした。
進行方向には、タトゥーを入れたスキンヘッドのでっぷりした男が鈍器を持って立っている。
「なんだ?そっちのおチビちゃんが来...!」
男が言いさした刹那、俺はシヒロを瞬時に追い越してそいつに肉薄する。
「ハァァァッ!」
突っ込みざまターンと跳ねてクルンと前方回転した俺は、男の頭部へハンマーのようにゴンと足を振りおろす。
「うおっ」
頭から踏みつけられる恰好となった男は無様にズーンと前のめりに潰れる。
「シヒロ!行け!」
「は、はい!」
俺は男の頭を踏みつけたままシヒロに先を行かせた。
それから背後へ振り向くと、
「テメー!」
金色の短髪に眉なしのいかにもガラ悪そうな背丈の低い男が、ダガーナイフを向けて跳びだしてきた。
俺は迎撃動作に移ろうとするが、
「!」
足がのりで貼りついたように動かない。
「離さねーぜ魔剣使い。嫌なら俺にトドメを刺してみろ。その瞬間テメーが殺られるぜ!」
スキンヘッドの男に足首をガシッと掴まれていた。
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