表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/166

ep45 魔術師

「か、勘弁してくれ!」


 仮面の人は手に鈍器を持っていて、髭面のオジサンを脅しているのでしょうか。

 髭面のオジサンは後ずさりながら尻もちをつき、ひどく怯えています。


「た、たのむ!命だけは......」

「死ぬかどうかは、オマエしだい」


 仮面の人は鈍器を振り上げました。

 

「や、やめろぉ!」


 ぼくは思わず声を張りあげてしまいました。

 仮面の人は鈍器を振り上げたまま、ぼくの方へ振り向きました。


「なにオマエ?」

「あ、あなたこそ、なな何者なんですか?」

「どうも。おれたち〔フリーダム〕です」

「!!」


 ぼくはガタガタと恐怖に震えていました。

 当然です。

 怖いから。凄く怖いから。

 なのに、なんでわざわざ、ぼくは声を上げてしまったのでしょう。

 

「ひ、ひいぃぃぃ!」


 仮面の人がぼくに気を取られている隙に、オジサンは転がるようにドタドタと逃げていきました。


「この街の少年......でもないな?オマエ...」


 仮面の人はゆっくりとぼくへ近づいてきました。


「に、逃げないと!」


 ぼくはきびすを返して反対方向へと駆けだそうとします。

 ところが、

「!」

 そちら側からも別の仮面の人たちがこちらへ接近してくるじゃないですか。


「こ、こっちにも!ひいぃぃぃ!」


 逃げたはずのオジサンが逃げるように元の地点へと戻ってきました。

 どうやらオジサンが逃げた方向にも仮面の人たちがいたようです。


「ど、どうしよう......!」


 手立てはないのでしょうか。

 一秒でも早く〔フリーダム〕から逃れないと。

 ぼくは恐怖の汗を滲ませながら、退路を探して眼をキョロキョロさせました。

 そんな中、ぼくの目は、ひとりの仮面の人へとまりました。


「あ、あのひと......」


 その仮面の人は、ぼくが逃げようとした方向から歩いて迫って来ていました。

 ぼくが注目したのは、彼の手に握られていたものです。

 といっても、彼の手にあるのは武器ではありません。

 先端部分が奇妙に捻れ曲がった木製の杖です。


「あれは......」


 ぼくは理解しました。

 その杖がどんな物で、彼が何者であるかを。


「魔術師だ!」


 なぜか仮面の魔術師は、ぼくから十メートルぐらいの位置でピタリと立ち止まりました。

 それに合わせて彼の背後左右にいる仮面の人たちも足を止めました。


「魔術師、と言ったか?そこのキミ」


 仮面の魔術師が出しぬけにぼくへ質問を投げてきました。

 ぼくはその質問の答えかた如何(いかん)で、命運を左右される気がしてしまい言葉が出なくなってしまいます。


「そうか、沈黙か。ならこうしようか」


 仮面の魔術師は、おもむろに杖をぼくに向けて構えると、なにかを呟きはじめます。


「......深淵なる万物万象の源泉よ。我が(ちから)()り、()の者を燃やし尽くし(たま)へ。〔アルカーナ・フランマ〕」


 ぼくはそれがなにかを知っています。

 これは魔法の詠唱。

 有言魔術!


「!」

 

 仮面の魔術師の杖の先にボォォォッと炎の塊が発生したかと思うと、それはぼくに向かってゴオォォォッ!と非情に放射されました。 


「あっ...」


 術者の仮面を炎の光が赤く照らす。

 ぼくの瞳に迫る炎が眩しく光る。

 

「うわぁぁ!」


 このままだとぼくは炎に焼かれて死ぬ。

 でも逃れられない。

 もう間に合わない。

 ぼくは死を覚悟してまぶたをぐっと閉じました。


 その時です。


 ぼくの目の前でブワァァッ!と一陣の凄まじい旋風が巻き起こったかのような、不思議で力強い風を感じました。

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ