ep23 変化
【登場人物】
クロー・ラキアード・・・主人公の青年。カワイイ系の金髪イケメン男子だが転生前は中年のおっさん。
パトリス・・・ラキアード家の執事。
ロバータ・・・ラキアード家のメイドの中年女性。
ミック・・・エールハウスで知り合った遊び仲間のチャラ男。
ナオミ・・・エールハウスで出会いその日中に一晩も過ごした美女。
*
夜中、パトリスと一緒に帰宅した日以降、俺は少し変わったらしい。
あれからも数回、家でパーティーを開いた。
俺はほとんど酒も飲まず、あくまでも主催者としての責任で参加しているような感じだった。
だから、いつものアソビ仲間とは距離を置き、女の子たちともあまり話さなかった。
そんな俺を見てミックとナオミが奇妙に思い、
「どうしたクロー?」
「げんき、ないの?」
声をかけてきたが、
「なんでもないよ。眠いだけだよ」
俺はテキトーにやり過ごした。
そのようなやりとりを何度か繰り返すうちに、アイツらはもう何も言って来なくなった。
アイツらには良くも悪くもこだわりがない。
「一緒にアソんでいた人間が一緒にアソばなくなった」
それだけのことなんだと思う。
俺の中で、それを寂しく思う気持ちがないわけでもなかったが、それを行動に移すだけの意志も感情もそこにはなかった。
パーティーが終わると、俺は率先して片付けをやった。
「クローさま。わたしがやりますから」
メイドのロバータが言ってきても、
「俺もやる」
関係なく俺は手を動かした。
その時、ロバータとパトリスが意味ありげに微笑み合ったので、俺はなんとなく恥ずかしくなってふたりに視線をぶつけた。
「な、なんだよ?」
「いえ、べつに」
「なんでもありません」
ふたりはなんだか嬉しそうだった。
俺は片付けをしながら、
「考えてみれば、自分で片付けるのってはじめてだな。ずっと、いつも、やってもらってたんだよな......」
彼らに対して感謝と申し訳なさが込み上げた。
本当は......。
もうパーティー自体、取りやめようとも考えていた。
しかし、それを口にすると、
「ぼっちゃま。やむを得ない理由もなく手前勝手に中止にするのはよろしくありませんよ。人に迷惑をかけ、自らの信用を失うだけです」
パトリスに釘を刺されてしまった。
本音ではパトリスも、もうあんなパーティーを家で開くのは嫌だったろう。
俺にあんなパーティーに参加してほしくもなかっただろう。
だが、こういうことは気持ちの問題ではない。
こんなことでも、主催者として最低限の責任は果たさなければならないということ。
なので、
『すでに決まっていたパーティーだけは責任を持って開催した』
というわけだ。
正直、
「メンドクサイなぁ」
と思った。
だけど、俺を想ってそう言ってくれたパトリスの気持ちが、俺は素直に嬉しかった。
*
すべてのパーティーが終わり......。
俺はひとり、二階の自室でボ〜ッとしている。
窓際のイスに座り、ガラス越しに曇り空を見上げて。
「生きるって、なんだろう......」
結局は、それだった。
途方もないけど、根本的なこと。
「俺は、ただ......」
残りわずかな人生。
意味が欲しかった。
元の世界にいた頃から振り返れば、後悔なんて腐るほどある。
生ゴミのように腐って腐って積み重なった後悔からは、鼻をつんざくような自己嫌悪の異臭が漂っている。
「せめて、納得して、死にたい......」
でも、そのやり方が、わからない。
そもそも、ひたすら中途半端に生きてきた俺みたいなクロヤローが、今さらそんなことを求めるなんておこがましいだろう。
わかっている。
けど、それでも、なにか、できないのだろうか。
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