ep112 決闘
そして......。
俺たちは広場に移動した。
祭りの残物は兵士たちによって速やかに片付けられた。
他にも街灯などが点在しているが、これといった障害物はない。
ここなら多少激しくやり合っても街への被害は出ないだろう。
「魔剣使いクロー。始めようか」
カレンがスッと剣を抜いた。
俺の手にはすでに魔導剣が握られている。
「......」
一定の距離を置き、向かい合うふたり。
立会人となったカレンの部下数名が俺たちを厳密に見守る。
......これが決闘というやつか。
すでに闘いは何度も経験したが、こういった形のものは初めてだ。
「いよいよ始まるぜ」
「ああ」
「やっぱり魔法剣士様が勝つのかな。なんせあの勇者様の妹君だ」
「必ずしもそうとは限らないんじゃないか?だってさっきのアレを見ただろ?あの銀髪の魔剣使いも相当な手練れっぽいぞ」
離れた位置からざわざわとギャラリーが囲んでいる。
実は、あれだけ派手な爆破が街のあちこちで起こっていたにも関わらず、死傷者はほとんど出ていなかった。
それはカレンの部下...すなわち国際平和維持軍特別部隊の兵士達が奮闘したからだ。
〔フリーダム〕の奇襲に対しても、最初こそ苦戦し後手に回りながらも見事に蹴散らしたようだ。
今現在も、この場にいない兵士たちは街と市民のための事後作業を迅速にこなしている。
とてもじゃないが小部隊とは思えない。
俺が言うのも変なハナシだが、実に頼もしいかぎりだ。
「彼らは先の戦争でも幾多の戦場を経験した優秀な兵士だ」
カレン隊長はそう口にしていた。
そんな優れた人材を擁する精鋭部隊を率いる隊長にして、勇者の妹でもある世界最高の魔法剣士。
こうやって向かい合ってみると、多勢のフリーダムや頭のイカレたキラースを相手にしているほうがよっぽど楽なんじゃないかと思えてくる。
「く、クローさん......」
「大丈夫だぜ嬢ちゃん」
「なんせダンナはダンナだ」
「......」
シヒロとトレブルとブースト、そしてエレサは肩身狭そうに俺を見守っていた。
俺はおもむろに剣を構えると、思い出したように口をひらく。
「そうだ。俺が勝った時の要求をもうひとつ付け加えていいか?」
「なんだ、言ってみろ」
「ダークエルフのことも...エレサのことも見逃してやってくれ」
「ダークエルフもか。わかった。いいだろう」
カレンはあっさり承諾した。
絶対の自信があるからだろう。
「クロー!なぜわたしのことまで!?」
エレサが敏感に反応した。
「もののついでだ」
俺はぶっきらぼうに答えた。
というより、ぼちぼち余裕がなくなってきた。
おそらく魔法剣士カレンは......今までで最強の相手。
でも、だからこそ、今の自分の力を試す相手としては絶好の存在だ。
余裕がなくなってきたと言っているわりにはやけに余裕のある考え方だが。
......。
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