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チャドクガの毛

実家から戻り部屋に帰ったのは、午後9:00を回ったころだった。


(桃って傷みやすいので箱の中から出した方がいいのかな? )


上の方から順番にテーブルに並べていく。

桃はまるで絵にかいたような桃色で、そのぷりぷりした実が本当においしそうで..


「ひとつ食べちゃおうかな」


桃の皮をむいて皿の上に置くと、切り分けるのも面倒だったのでそのままかぶりついてみる。

ジュワっと果汁が口からこぼれる。


「うわ~。すごく甘い」


その瑞々しい味わいと香りは至福のひとときだ。

桃の果肉はやわらかく、皿を口元に当て、汁をだらだらこぼしながら、すぐに食べ終えてしまった。


しかしこれは何かのジョークなのかな??

それともこれもプレゼントなの??

桃の中から出てきたのは、甲府のゆるキャラ・武田菱丸のぬいぐるみだった。



——ポリポリ


腕を掻きつつ箱を片付ける。

桃の置場はどこにしようかと思いながらも、シャワーを浴びてベッドの上にどっかりと寝そべると、一気に面倒くさくなってしまった。


「まっ、明日でいいか」


——ポリポリ


痒いな。ダニでも持ってきちゃった?


痒いところを見ると肘の内側に赤い湿疹ができている。


「何? これ? 何かにかぶれた? アレルギー? 」


びっくりして飛び起きると、だんだんと痒みが強くなってきた。


湿疹の原因を調べようとスマホを手に取ると実家からの着信履歴に気が付いた。


「もしもし、お母さん? どうしたの? 」

「桃ちゃん、大丈夫? 」


「何が?? 」

「身体、痒くない? 」


「どういうこと? 今、それで大変なの」

「大輝が言うには『チャドクガの毛虫』にやられたらしいって」


「そうなの? 毛虫? そんなのいなかったよ? 」

「とにかく、あまり掻いちゃダメ。余計に酷くなるから。大輝なんか上半身が凄い状態になってるから。搔かないようにね」


「そんなの無理だよ」

「だめ! 跡になったら大変でしょ! 辛いでしょうけど薬塗って我慢して! それと今日着ていた服はビニールに包んで捨てなさい! 」


こんな我慢大会を強いられるとは。


ネットでチャドクガを検索すると、確かにヤバい毛虫だった。

すぐに衣類をゴミ袋に捨てた。


取りあえず塗り薬をぬると腕を搔きむしらないように我慢した。


絶対に跡にはしたくない。


「ううー、痒いなー。これはかなりキツイ! 」


しかし私の場合は症状が軽めだったのが幸いだった。

痒みに耐えているうちに疲れが勝り、いつの間にか眠ることができた。


=====


——翌日..


今日はショップVisitのお手伝いの日。

私は湿疹の広がった腕を隠すため袖口が緩めのブラウスを着て家を出た。

症状は軽めとはいえ、湿疹は左手の柔らかい内側全体に広がっている。


その腕を詩織さんに見せると『キャッ』と言いながら若干引いていた。


「あ、うつらないので大丈夫ですよ」

「そうね。でも酷い状態ね。跡に残らない? 大丈夫? 」


詩織さんから即、ダイビング禁止令がでてしまった。


「明日、必ず病院に行ってね。完治するまでお手伝いはしなくていいから。片岡君にも伝えておくから安心して」


「わかりました。どうもすいません。あっ、あの、これ実家の兄がみなさんにと.. 」


「えっ! 桃!! すごくおいしそう~」


さっきまで私の腕を見てガクブル顔(;゜Д゜)をしていた詩織さんだが、ぷりぷりの桃の実を見るやニコリ顔(◍′◡‵◍)に豹変した。


そして一言小さくつぶやいてるのを聞き逃さなかった。


「桃ちゃんが桃くばった。ぷぷっ」( *´艸`)

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