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間違いメール

七海、蘭子のほかに哲夫さんも加わった昨年の派手なクリスマスパーティ。

今年は七海と2人きりで密やか、しめやか、に行われた。

蘭子もシューファもクリスマスイベントで多忙らしいのだ。


そんなちょっぴり寂しいXmasが過ぎた翌日、萌恵ちゃんが部屋にやって来た。


「ねぇ、桃さんどう思います? これって絶対に浮気ですよね? 」

「ん~、どうなのかな? 」


「峰岸さんは出発するとき『離れても忘れない』と言ってくれたんですよ? なのに.. 」


萌恵ちゃんがわざわざ見せに来たのは、峰岸さんからのメールだった。


頻繁に連絡を取り合っていたという2人。

ときおり、峰岸さんが撮ったオーストラリアの雄大な写真を萌恵ちゃんは見せてくれたりもしていた。


そんなメールのやり取りの中、1週間前にあるメールが届いたらしいのだ。


『どう? 気に入ってくれたなら俺はうれしいよ。もし君のもとに届いたら連絡をください』


そしてその後すぐに。

『間違えて送っちゃった。ごめん』


という文面のメールが届いたのだ。


(峰岸さん.. これはかなりのマイナスだよ.. )


私は頭の中で萌恵ちゃんにかける言葉をサーチした。


「桃さん、留学生っていっぱい、いっぱいいるらしいんです。峰岸さんが3人でシェアしている家でもひとりは韓国人の女性だって言ってました。その女性が友達連れてきてパーティを開いて.. も、もしかして? 」


「ほらほら、変な想像ばかりしていても仕方ないよ」


「でも、例えば桃さんは哲夫さんの事心配じゃないんですか? 他に素敵な女性に出会うかもしれないじゃないですか? あ、ごめんなさい」


(痛いところついてくるな.. )


「でも、その後も峰岸さんから連絡は途絶えてないんでしょ? 」


「はい。でも私、何をメールに書けばいいかわからなくて、結局また質問ばかりするのも嫌だし.. なんか、今はそっけない返事を返しちゃってるんです」


その言葉は独り言のように力なかった。


萌恵ちゃんの愚痴と慰めはかなり長い時間がかかった。


そして萌恵ちゃんが帰ってから私はシャワーを浴びて眠った。





朝、萌恵ちゃんからメールが届いた。


『昨夜は長い事すいませんでした。あの後、部屋に帰るとポストの中に荷物が届いていました。峰岸さんからでした。その中にハートをモチーフにしたオパールネックレスが入ってました。なんか、あのメールはこのプレゼントに対するメールだったらしいです。予約送信をするのを間違えて送信してしまったと手紙が入ってました。いま、凄くうれしいです♪ ありがとうございました!』



「ふぅ.. やれやれ」

私はそのメールを読んで、そうつぶやくと『カエルまんじゅう』を頬張った。




(でも、よかったね♪)

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