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司法試験の合否

今日は緊張する特別な日。

哲夫さんの司法試験の合格発表日だ。


□□□□□

「どこにも行かないで!

合格発表のあと黙ってどこか行かないでください、哲夫さん、お願い」

□□□□□


自分ながら思いだすと富士山が噴火するんじゃないかと思うほど顔が熱くなっちゃう。


哲夫さんはもう合格の張り出しを確認しているだろうな..


「 ..も、おい、桃! 」

「はい? 」


「『はい? 』じゃなくて何度も呼んでるだろう。あのな、俺、午後にちょっと須田ちゃんの所に行くから? 」

「どうしたの? 須田さんに何かあったの? 」


「うむ。ちょっとな。あまり容態が良くないらしいんだ。だからお見舞いに行って元気づけてこようと思ってな。だから午後に納車とかあるから太刀君と行ってくれ。頼んだぞ」


「うん。須田さん、心配だね。私も近いうちお見舞いにいくよ」



*****


——16:00


2階に上がっていく哲夫さんの気配がする。

でもこれから新座市まで太刀さんと行かなければならない。


「桃ちゃん、行くよ。一応ナビに目的地だしておいたけど、はぐれないようにね」


「うん。わかった」



****


東京で行われる国際サミットにおける車両規制のため、新座市から帰ってきたのは閉店時間の18:00をまわってしまった。


「いや~、まいったね。すごい渋滞だったね。悪かったね、桃ちゃん。哲夫さんが気になるんだろ? 」

「べ、別にそんなことないですよ。それに大丈夫でしょ。がんばってましたから」


「ほ~ 信じてるってやつか。どうもごちそうさま」


「なんだ太刀? 2人で何か食ってきたのか? 」

「違いますよ、相良さん。店閉めましょ」


****


私はシャッターが降りるとともに、2階へ駆け上がった。


[ コンコン ]


扉がゆっくり開いた。


「て、哲夫さん? 」


哲夫さんは手で『OK』サインをだした。


「おめでとう! 哲夫さん」


私は哲夫さんのもとに駆け寄り、その腕におでこを押し当ててしまった。


「ありがとう、桃さん。桃さんのおかげです」

「違うよ。哲夫さんのがんばりの成果だよ。そうだ! 今度『第2回お月見会』開こう! そこでみんなに発表しようよ」


「そうですね。そうしましょうか」



私は哲夫さんが想像以上に冷静なのは司法試験が終わった安堵感からくるものだと、その時は思っていたんだ。

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