愛らしい旋律 ①
ツンデレ気味の天才ピアニストディランとスパダリ年下溺愛ピアニストアレックスとのラブコメディ。
出来るだけ読みやすく書ければなと思っています。
週2回投稿予定。
第25回ピアノコンクール、優勝は14歳ディラン。
「すごかったですね、あの旋律。彼の将来が楽しみで仕方ありませんね。」
当時の記憶は、10年経った今でも鮮明に覚えている。周囲の視線や声が、轟音に聞こえ、その場から必死に逃げていた。
「アレックスどこだ?」
やばい見つかる…ただ闇雲に俺は走った。その時あるコンサート会場に逃げ込んだ。この人の数なら、見つからないだろう。そこで聞こえてきた…その音色は、色あせず未だに脳裏に焼き付いている。
そして彼の声、彼の笑顔、俺は一目ぼれをした。
「おいディラン、お前またあの生徒の個人レッスン逃げたな…」
モークという教師仲間に捕まった。
「なんでヘレンのレッスンの時、突然消えるんだ?逃げたな…」
「逃げてないし、大事な…し、し、仕事が急に入ったんだよ」
「嘘だね、その表情と言い方でまるわかりだわ!!美人で、スタイルもよくて、金持ちのお嬢様。それにお前すごく好かれてるじゃん。」
「あぁぁぁ…羨ましい…俺だったらタダで毎日教えてあげるのに」
「俺は別に興味ない、好みは人それぞれだよ、てか、変わってくれないか?」
俺は名前は、ディラン。国で一番の名門音楽学校卒業。コンクールいくつもの賞も獲得している。年齢は24歳。本業は、ピアニストである。恩師に頼まれ月に数回母校で教えている。
たくさんの緑に囲まれた中にあり、黒と白のモノトーンの校舎。辺りに何もなく、駅から離れているため、この学校の生徒は、半分以上は、寮生活である。
「ディラン先生。探しましたよ。ティム教授が呼んでますよ。」
「ほらみろ、さすがに教授にもバレたんだろう…言い訳考えとけ、あははは」
「黙れ、モーク。」
長い廊下をゆっくり歩きながら、俺は昔、教授に言われたことを思い出していた。
俺が大学2年生の時にティム先生が担当講師になった。鬼教官と呼ばれていた。
「ディランおまえの音色は、最悪だ。この曲の事わかってなさすぎる。あぁ…もう聞きたくない。教室から出ていけ。次回も同じだったらこの単位は諦めろ。」
ここの生徒は技術はトップクラスの集まりである。それでもこの先生から合格をもらうには、至難の事だった。その中でも俺は一番の落第生だった。
いつも苦手な曲を課題に出され、怒鳴られていた。
今回の曲は「ジュ・トゥ・ヴ」Erik Satie
先生が言いたいことは、わかっている。でも本当にこの曲の気持ちがわからないのだ。作曲家は、好きな相手へ愛を奏でるようにって作ったと思われるが、俺には無理だった。
だって…俺は…
愛することも愛されることも怖い…怖いんだ。
18歳のあの日を出来事から…