筋トレの動作において、筋肉に最大の物理的刺激を入れる方法について考察してみたよ~~
RM法、爆発的挙上、スロトレ…………ネットでググれば、わいて出るように様々な筋トレ方法が出てくる。
それらを行う目的としては、筋肥大、最大筋力向上、筋パワー向上、筋持久力向上……コアな部分では筋スピード向上、RFD向上みたいなものもある。
今回は筋肥大や最大筋力向上に欠かせない物理的刺激をいかにして大きくするかについて考えていきたい。
結論から言う。
ターゲットとなる筋肉を最大限動かせるフォームで動作を行う。
反動をつけずに動作を行う。
重りを持ち上げるげる時は最大まで加速させる。
下ろすときは気持ちゆっくり下げる(扱う重りが軽ければそこまで意識しない)
切り返しの2歩手前で再び全力を出す。
1セット辺りにかけて良い時間は45秒まで。
やる時は最大までアドレナリンを分泌する。
以上7点を気を付けながら動作を行えば、筋肉に与え
られる物理的刺激は最大になると考えられる。
この答えにたどり着いた理由は7つある。
1点目、ターゲットとなる筋肉を最大限動かせるフォーム
で動作を行う。ベンチプレスを例に説明すると、バーベル
を挙げるとき、使われる筋肉と言えば、大胸筋、三角筋
前部、上腕三頭筋がメインに使われる。この3部位を
メインに使い、その他多くの筋肉が補助として加わる
ことで、重たいバーベルを重力に逆らって加速させられる
のである。
……お気づきだろうか、これらの動作は複数の筋肉を使い
行っているのである。そして、全身を連動させる動作
では、1つの筋肉が伸びきって縮みきる事が殆ど無い。
今更そんなことをと思っただろうが、仮に現在鍛えたい
筋肉が大胸筋のみであるならば、大胸筋以外の筋肉が
稼働することは、大胸筋が最大まで稼働していない事を
意味し、大胸筋単体のトレーニング効率としては非常に
低くなるのである。要するに完全に伸びきらないし、
縮みきらないのだ。
これを回避する方法は簡単。大胸筋を最大限ストレッチ
し、収縮させるフォームでトレーニングを行えば、
大胸筋に強い刺激を入れることが出来る。各種フォーム
については、筋トレが上手い方々の動画を参照されたし。
2点目、反動をつけずに動作を行う。
これは有名だが、やはり大切なので記載する。
まずは、何故反動を用いたら、筋肉に加わる負荷が少なく
なるかを説明する。上腕二頭筋……力こぶの筋肉を縮め、
腕を曲げてダンベルを持ち上げる動作で、背中をのけ反る
等を行った場合、その時に反動が発生する。その反動は、
ダンベルを曲げる腕に力として作用して、ダンベルは肩の
方へと持ち上げられる。
単に持ち上げるだけならば良いのだが、この時ターゲット
となる筋肉は、上腕二頭筋である。反動を使った分、上腕
二頭筋は力を発揮せずにダンベルを持ち上げる事になって
しまい、それだけ上腕二頭筋のトレーニング効率が低下
してしまう。
これの解決方法も単純明快である。
1つ目は、意識を"ダンベルを持ち上げる"ではなく、
"上腕二頭筋を最大の力で収縮させる"に変えることで
ある。実はこれだけで理想のフォームに矯正することすら
期待できるのだ。2つ目は、上腕二頭筋で扱える重量の
ダンベルを選択することである。そもそも持ち上げられ
なければトレーニングが出来ない。無理に扱えない重さの
ダンベルを扱った場合、その重りで得られる効果の1割も
得られないと考えた方が良い。それなら重りの重量を
6~8割に減らし、その効果を全てもらった方が特である
ことは明らかだろう。
目的は誰かにパフォーマンスを見せることではなく、発達
させたい筋肉(例だと上腕二頭筋)を発達させることである
ので、重りが軽いことは恥ではない。
3点目、重りを持ち上げるげる時は最大まで加速させる。
物理の公式に、力は物質の重さ(質量)と加速の大きさを
かけた値になるというものがある。例えば、1tの車を
1秒で時速20kmまで加速させた場合と、時速40km
まで加速させた場合は、後者の方が2倍大きな力を発揮
していることになる(後者が明らかな暴走車なのは気に
しないでください)。
筋肉が発揮する筋力も"力"である以上、重り(質量)に
加速度を与えた結果、"重りを持ち上げる動作"として
成り立っているのである。
したがって、鍛えたい筋肉に最大限刺激が入るフォーム
で持ち上げるなら、最大限まで加速させた方が大きな力
を発揮していることになるのだ。そう、正しくは、鍛え
たい筋肉を最大まで伸縮させられるフォームで、反動を
使わず、それでいて挙げきる時まで最大限加速させ
続ける事が、鍛えたい筋肉に最大限刺激を入れる方法と
なる。
この方法にはあまり知られていない利点があり、それは
"軽い重りでも高い効果を得られる"と言うものだ。
確かに重い重りよりも質量で劣ってはいるのだが、同じ
力を発揮すれば、相応の加速度を得られるので、結局は
強い刺激が筋肉に入っていることになる。
但し、筋肉には収縮速度が上がれば発揮可能な力が減少
するという特徴があるので、動作後半で発揮できる筋力
は、重たい重りの方に軍配が上がる。
やはり可能な限り重たいダンベルやバーベルを使うのが
望ましいだろう。それでもそれらを扱う環境が無いなら、
加速の意識は非常に役立つと考えられる。
4点目、下ろすときは気持ちゆっくり下げる(扱う重り
が軽ければそこまで意識しない)
よく、重りを下ろすときは特にゆっくりしましょうと
言われることがあるだろう。これは、重りが重力に
よって下へ加速されるのに対抗し、筋力を発揮した結果、
大体重りの重さと同じ刺激を筋肉に与えられる事と、
下ろす動作の方が筋繊維に傷がつきやすいから言われて
いるのである。
しかし、3点目を読んだあなたなら、重力を上回って重り
を加速させる挙上動作の方が、筋肉への刺激が高いの
では? と思ったはずだ。それはその通りである。
では何故これが大事かというと、10回も反復動作を
行えないような重りの場合、持ち上げる時の動作で得ら
れる刺激と、重力に抵抗してゆっくり下ろしている時の
物理的刺激にあまり差が発生しない。その為、重力に抵抗
してゆっくり下ろしているだけでも、かなり筋肉に刺激が
入っているからだ。そして、そんな重りを勢いよく下ろし
てしまったら、"動作中の関節や、落としたときに真下の
足指が大怪我しかねない"からである。要するにケガ防止
のついでに有効な刺激も得ようということだ。
但し、扱う重量が小さい場合はその限りではない。全力で
加速させても20~30回程反復できるような重りでは、
重力に抵抗して下ろすよりも、1.5倍~2倍程の刺激が
挙上動作で獲得できる。にもかかわらず、ちんたらと弱々
しい刺激を獲得することはあまりに非効率であり、筋力
向上や筋肥大に大きく働く速筋繊維の稼働面でも無意味
極まりないといえるのだ。
それだけ軽ければ関節の負担も少ないし、後述の切り返し
動作を怠らなければまず、怪我はしないだろう。
5点目、切り返しの2歩手前で再び全力を出す
恐らくこれが物理的刺激に関して最も大切な要素だと
思われる。
3点目でちらりと話した筋肉の収縮速度が上がれば発揮
可能な力が減少するという特徴がここで働いてくる。
収縮速度が上がって最大筋力が下がるなら、逆に引き伸ば
される速度が上がるほど、最大筋力が上がるのである。
しかし、下げている重りの速度を変えないのでは、重りの
重さだけしか刺激が入らず、緩やかに減速させていては、
ちょっとしか重りから得られる刺激を増やすことが出来
ない。
要するに、下げきる2歩手前程で筋肉が破裂しかねない程
(気分的に)発達させたい筋肉を縮めようとすることで、
切り返しまでの一瞬だけ本来の最大筋力を超える刺激を
得ることが可能である。4点目で出てきた速筋繊維には
2種類のタイプが存在し、よりパワフル&スピーディー
なタイプはこの瞬間に最も働く可能性が高い。
言うまでもなく、このタイプが筋肥大も一番スゴい。
さらに、このテクニックは軽い重りでも関係なく可能で
あるため、軽い重りや自重トレーニングしか出来ない
場合、4点目のゆっくりを無視して、切り返しの恩恵に
注力するのも有効な手段だと考えられる。
6点目、1セット辺りにかけて良い時間は45秒まで。
これは先程から出ている速筋繊維の特徴に由来する。
人間のエネルギー利用法には、酸素を使ってゆっくり
弱々しい力を使う有酸素運動、そして酸素を使わず糖質
やクレアチンリン酸を使った、パワフル&スピーディー
な無酸素運動がある。
当然物理的刺激を最大限まで獲得し、最大筋力向上、
筋肥大(付け加えると筋パワーやスピード筋力、RFDの
向上等も)を最大限に得る為には、筋トレを"無酸素運動
として"行わなければいけないのである。"無酸素運動と
して"というのは、滅茶苦茶強度を上げてということ
だが、連続動作として45秒以内に限界を迎えてしまう
レベルで強度が高ければ、それは無酸素運動に分類
される。
筋トレは重りの上げ下げを連続して行う動作である
ため、1セット(動作開始から筋肉が限界迎えて終わる
まで)にかかる時間が45秒を下回っていれば、筋トレ
としては成功している可能性が高い。逆に、上回って
しまったらほぼほぼ有酸素運動をやってしまったと考え
られるため、筋トレとしては失敗……いや、大失敗である!
まぁ、要するに、マラソンやるみたいにじわじわ追い込む
のではなく、一気にバーン!ガツーン!ビュン!(語彙力)
みたいな感じで、短距離選手やガゼルを追いかける
チーターの如く、瞬時に追い込みきりましょうということ
です。欲を言えば、30秒かからない位が理想的ですね。
7点目、やる時は最大までアドレナリンを分泌させる
はい、テンションを上げまくりましょうということです。
特に完全に追い込みきる本番セットの時に、限界を超える
ために必須だ。筋トレ前にコーヒーや○ン○ターエナ○
ーでも飲んで、精神を荒ぶらせれば何も問題は無いだろう。
筋トレは苦しむものじゃなく、"楽しむもの"だから。
まとめ
ポイントは、
・目的筋肉の可動域を最大になるフォームで行う
・反動は使わない
・重りを挙げる時は加速的に
・下げる時はゆっくり(重りが軽ければその限りではない)
・切り返しの二歩手前で全力を発揮!
・1セットが45秒以内に収まるようにする
・筋トレする時はアルティメットハイテンションになる
この辺を意識すれば、今まで感じたことの無い刺激を
筋肉から感じられる…………かもしれません(笑)。
ここまでご覧下さりありがとうございました~。
皆様の日頃の筋トレや、停滞期打破の役に立てば、
幸いです。来そうな?質問は後書きに書いておき
ましたので、疑問のある方は後書きもご参照
下さい。
後書き
本エッセイは有名な筋トレを行っている方々や、論文、
簡単な物理学を参考に作りました。但し、1個人が他者
の干渉無しに作ったので、所々違うことがあるかも
しれません。したがって、本当か疑問に思った方は、
この機会にご自身でも筋トレを始めたり、復習したり
すると、理想の体や身体能力に近づくと思われます。
ここからは想定質問コーナーです。
Q.物理的刺激はいいんだろうけどよぉ、成長ホルモン
とかの化学的刺激は少ねぇんじゃねぇ??
A.私自身の経験談になりますが、全速力で反復すると
(特に軽い重りの時)、それだけで滅茶苦茶パンプ
アップします。恐らく成長ホルモンも分泌されている
ことでしょう。
Q.このやり方……総負荷量を稼ぐには不向きだよね
A.扱う重りの重量をやや軽くすれば、総負荷量を稼ぐ
ことは十分可能です。
Q.持久力は鍛えられなくね?
A.そもそも持久力は筋力・スピード・筋肥大と相反
するものなので、有酸素運動をしましょう、但し、
400m走等の中程度の筋持久力アップには多少役に
立つと考えられます。
Q.スポーツだと反動が大事なのでは……
A.筋トレは反動を無くして、鍛えたい筋肉に最大の
刺激を入れる動作。スポーツは反動も筋力も全てを
使ってハイパフォーマンスを得る動作なので、
スポーツするときは、反動については筋トレと
分けて考えてください。