初夢
初夢にみると縁起が良いとされる、一富士二鷹三茄子。どうやらつづきがあるそうだが、レーズンがランクインしている可能性は低いだろう。残念ながら、乾燥レーズンを床にぶちまける夢を、喜ぶことは難しい。盛大に散らばったレーズンを一粒ずつ指でつまんで拾い上げる作業には悲しみしかない。
指先が糖分でベトベトになったり、咳きこんだり鼻水が出たり、長く愛用していたグラスを不注意で破損したり、金属製の把手がはずれたり、摩耗していた金属製のネジを固定するために接着剤を注入したものの、結局ガムテープを使っていたりする夢をみて、「縁起がいいね」と言い張るだけのポジティブさを持ちあわせてはいない。
つまり、時がきたのだ。
去年今年、夢とリアルの接着剤である、お布団に入るときが。
そして現実世界のぼくは、目を覚まして、「今年もよろしく」とつぶやくのだ。