タネの瞳
あの邪気を放つ男はかわいらしく目が青い。ブルーの瞳の奥にノレンを思い描いていた。
「久しぶりの生気の宿った目、鬼にしては勿体無い美貌、くっくっく-----」
男は戦いたい欲望でノレンを遊び道具にする気だ。
悪魔はヒトの心に巣食う、ノレンにも邪悪な心が宿りつつあった。
ノレンは目が疼いていた。邪気に飲まれた死者を思い出すのでその度に死人が消滅する様が目を疼き錯乱する。
「死んだ後消えたらどうなるのだろう。魂は不滅じゃないのかな?」
うつけどものわらい声が懐かしく思うノレンはガラス窓で自分の右眼を見て、目の色がおかしな色にかわっているのを不思議そうに息を呑む、まるで生き物が目の中で自分を追い出そうとしているような危機感に襲われた。 青い眼は私の心とあの男を繋げた。変なラップ音が不協和音とともにノレンの脳を支配する 。 「めざめろ!」その声がラップ音にまざる。
走馬灯が意識を上書きし、小さな欲望が消えかけのローソクの様に叫ぶ。
た- - -すけ- -て!
「どうしたの大丈夫?」
「え?」
そこには赤い瞳の青年が目に見えない筈の鬼の私をしっかりとらえていた。
「え?」
俺の目を見ろ その眼はそういっていた
ノレンは飛び行く意識の中、赤い瞳にとびこみたくなったのか、いつの間にか抱きついていた。 吐息がかかる
「あ」「ごめんなさい!- - -もう大丈夫です。」
「青い眼をもっているなら君はヒトを殺すかもしれない。君は化け物なんだ」
ノレンは少し浮ついた心がそのわけもわからない言葉でいらつかせる。
「この眼はなんなの?」
「俺の敵、悪魔の目さ」
(もう少しで君を悪魔にするとこだった)
そうと言わんばかりのめにノレンは内心ドキドキしていた。