兄さん⁉︎
前回までのあらすじ
起床「なにこれ」
↓
ようこそ!
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プロローグ書き直しました。
…なんかいきなりぶっ飛んだこと言われた。あれかな、この子ちょっと電波入っちゃてるタイプなのかな、可愛いのにもったいない。
とりあえず確認の意味も込めて聞いてみよう。
「神々の領域?」
「はい!そうです。その名の通り、神々の住むところですね。柊木さんの世界でいうところの、天界とか高天原だとかに当たります。」
電波系謎美少女Xは、何故か誇らしげにそうのたまうと、これが証拠だ!と言わんばかりに枕やら、毛布やらをポコポコと生み出す。手品だとは思えない、どう考えても隠し持てないだろう量を生み出している。
これは信じるしかないか。
…そうだとすると宇宙人なんて目じゃねぇ、まさかの超大穴だ。
そして、現実逃避気味な俺を置き去りに、電波系謎美少女X改め神様系謎美少女Xは、得意げなご様子で話を進め始める。
「この場所ではですね、どの世界のどんな生物でも暮らせる環境が整っているのですよ。」
「あ、いや、そういうのが聞きたい訳じゃ…」
「ああ、生物ってのには、動物だけじゃなくてもちろん植物も入ってますよ。」
「な…」
「そうそう、植物って言えば、ちょっと前に私の友達が持ち帰ってきた木があるんですけど、その花がとっても綺麗なんです!」
「い…」
「鮮やかなピンク色の花を枝いっぱいに咲かせるんですよ!」
「…」
こっちの話も聞こうよ!
いや、そんな満開の花を表すジェスチャーなんていいからさ!
つーかなんで花の説明になってるんだよ!脱線しすぎだろ!
「それでですね、今度その友達と一緒に…」
しかし俺の心の叫びも虚しく、その後も人の話を聞かない神様系謎美少女Xプレゼンツの、綺麗なピンク色の花を咲かす木(たぶん桜)に関する独演会は続いたのだった。
ハァ…
*****
「…綺麗な花を見ながら食べると、もっと美味しいんですよ!」
「ハァ、そうですか…」
「はい!そうなんです!」
そこまで話すと、人の話を聞かない上話が長い神様系謎美少女Xは、こちらを見てくる。
どんなに人の話を聞かない上話が長い神様系だとしても、美少女は美少女だ。そんなに見つめられたら少し居心地が悪い。
「どうかしましたか?」
居心地の悪さを解消する為にも、そう言葉をかける。
すると、
「あ、いえ、さっき何か言おうとしてなかったかなぁ、と思いまして…」
と言った。
「…」
落ち着け、俺。たぶんこいつに悪気はない。ただこいつは、天然なだけ、そう人の話を聞かない上話が長い天然神様系なだけなんだ。そうに違いない。
ここは大人の対応をしなければ…!
俺は決意を胸に、今にも引きつりそうな頰の筋肉を根性で保つと、なるべく朗らかな口調になるよう心がけて返答した。
「ええと、ここが神様方の住むところだということはわかりました。でも、どうして俺のような只の人間がここにいるのでしょうか?」
少女をまっすぐ見つめると、なんか驚いたような顔をしている。というか、ようなじゃなくて驚いている。
「い、言ってませんでしたか?」
「言われてません。」
人の話を聞かない上話が長い天然ボケ神様系謎美少女Xの台詞に被せるよう言葉を返す。すると少女は、顔を赤らめなにかを誤魔化すかのように咳払いをすると口早に、
「し、失礼しました。それでは説明しますね。」
と告げ、いざ口を開こうとしたその時、
「おいシュラーフ、もう出航の時間だぞ!」
「兄さん⁉︎」
誰かが突然、部屋に入ってきた。
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