ゆめにっき
ふと目を開けると、そこは家のすぐ近くの無人駅だった。
塗装されたての真新しいベンチをぼんやりと街灯が照らし、踏み切りのカンカンという煩わしい音が鼓膜を揺らした。
「……なんでこんな所にいるんだろう」
私は首をかしげながら、気の赴くままに線路に沿って歩き出した。その足の向かう先は駅から二百メートルも離れていない小学校。
一歩足を踏み出すと、夜空に浮かんでいた満月が慌ただしく動き始めた。右から左に。私の頭上を通り越して沈んでいく。
月が沈んだ瞬間、街灯も無人駅の光りも消え去った。
一瞬、視界が真っ暗になる。
黒に塗り潰された視界は思いの外心地が悪く、眉を潜めて瞼を閉じる。
__一秒、二秒、三秒………
ゆっくり目を開けるとそこに既に夜は無く、空高くに太陽が昇っていた。
先程とは真逆の、急な眩しさに目を細めるが、直ぐに気を取り直して歩き出す。
セメントで固められた地面は石が転がり少しだけ歩きにくい。
地面を睨み付けながら歩いていると、なにかの気配がした気がして顔をあげた。
目の前には、小学校の体育館の裏口がある。あとは野生の木苺とか雑草、小さい廃墟ぐらいだ。それ以外には、なにもない。
だが、何故か胸騒ぎがする。勘が、本能が告げている。
“にげろ”と。
私は踵を返して一目散に走り出した。目指すのは、元居た駅の近くにある自宅。
私が走り出した瞬間、元々足があった場所が小さく爆ぜた。
走りながら後ろを振り向くと、そこにいたのは異形の化け物だった。
軽自動車は軽く超せそうな程大きい体は白く光り、顔には目も鼻も耳も無く、あるのは顔の半分はある口。
その口も、人間の歯の様なものがずらりと並び、太く長い舌が蠢いている。
ごつごつとした体からは、人間の腕によく似た形の腕が六本。巨大な体を支えている。
必死で走る。強張る足を無理やり動かし、不格好に手を振り走る。
どごっ、と。後ろで鈍い音がした。
化け物が動きだしたんだ。
動く度に、地震でもおきているんじゃないかと錯覚しそうなくらいの振動がおこる。
口から出た咆哮の勢いで、脆弱な身体が吹き飛びそうになる。
走る
走る
ただ走る。
やっと駅の前まできた。
一度駅に身を潜めれば、何とか撒けるだろうか。
そう思い、駅の建物へと足を踏み入れる。酸素不足で霞む頭を何とか上げ、目の前を見た。
絶望、する暇もなかった。
入った駅には、あの化け物がいた。
私の前で口を大きく開き、私が入るのを待っていた。
「___________え」
“いただきます”
そう言う声が聞こえた気がした。(夢の中だから本当に言ったのかも知れないが。)
勢いよく口が閉じる瞬間、視界がまた黒く染まる。
「_______________痛くないと、いいなあ」
私は緩く笑っていた。
飛んで火に入る夏の虫…とはこの事ですかね。
因みに日記の方には、最後に“夢だったのかー。夢で良かった。……………も一度寝よう”と書いてありました笑
大体いつも夢見てるので常に頭が寝不足です(*´ω`*)コマッタナア




