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ごく平凡  作者: 美月里亜
8/18

隣の芝生は青い8

「天王寺くーんって彼女いるのー?」

「天王寺くん、帰りに一緒にカラオケでも行かない?」


始業式も含めた入学式も無事に終わった一日の最後。

天王寺の周りにたくさんの女子生徒が集まっていた。

恥ずかしくて天王寺の側にいけない女子生徒たちは遠くから羨ましそうにその光景を見ている。


はいはい、昔から変わらないこの光景。

いつだってイケメンが注目される世の中。

フツメン?いや、見る人が見たらブサメンと言われるかもしれないこの容姿…。


とほほ…。

イケメンなんて人口の一割弱の人間じゃないか。

そんな一割弱の人間を自分の彼氏にしたいと言う女がどれほど多いのか…。

初めから分かりきっている勝負に進んで挑む女の気持ちが分からん。


「あーあ、この中の一人でもいいからオレのところにこないかな?こんなに格安物件なのに…」


そうそう、オレは格安物件って、おい‼


「勝手に人の心読むなって言っただろう、しかも格安物件って何だよ!」


オレの心の中に勝手に入ってきたのは、言う間でも無く、またまた勝手にオレの後ろの席に座り、じーっとオレを見てる前野だった。


「天王寺くんと自分を比較するなんて比較対象間違い過ぎだよ。月とスッポンの差だよ」

「月とスッポンって何だよ?てか、お前何でいつもオレの近くにいんの?」

その言葉に前野は一瞬ぎゅっと唇をつぐんだ。

「ひょっとしてオレのこと好きなの?」

それはいつもと変わらない、些細なやり取りだった。

『バカなんじゃないの?』

と言う前野の一言で終わるはずの会話だったのに。


「そうだよ、私、鈴木の事が好きだよ。だから、鈴木と同じ学校選んだんだよ」


え?

何?聞き間違い?

前野がオレのこと好きって?

こんな何の取り柄もないオレのことを?


いやいや、無いだろう。


しかし、前野の方は、フグのように頬を膨らませこっちを見ている。


ああ、神さまこんなときモテ男ならどんな風に言うのでしょうか?






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