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ごく平凡  作者: 美月里亜
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隣の芝生は青い3

「まぁ、こうしてめでたく同じ高校に進学できたんだから、これからも仲良くしようぜ、相棒」

天王寺がオレに向けて親指を付き出した。

イケメンで何の問題も無いような天王寺だったが、残念なとこもある。

それが、この昭和のような口調である。

毎回毎回と言う訳では無いが、たまにこんな昭和のような言葉を発する。

まぁ、それでもイケメンと言うだけで救われているのであろう。

オレのような何の取り柄も無い平凡な男が言ったら、

『平凡な顔のくせに言葉使いも昭和でどんくさい男』

とでも言われてしまうだろうが、イケメンが昭和言葉で話しても。

『こんなにイケメンなのに、そんな言葉使いで場を和ませるなんて、さすが』

などと声を高らかにして喜ぶ女たちの姿が目に浮かぶ。 

人間と言うのはどうしてこうも見た目だけで判断しがちなのだろう?

ほぼ全ての人間が見た目で、態度を変えるだろう。

例えば、ごくごく平凡なオレが目の前の女生徒の背中についているゴミを取ってあげても、

『え?』

と振り返り、怪訝そうな顔でこっちを見るに違いない。

オレの行動が彼女の服についていたゴミを取ったと言うことを理解しても、

『ああ、ありがとう』

と、社交辞令のような礼を言うしか無いだろうが、この天王寺がそんな行動をしようものなら、

『あ、あ、ありがとうございます、そのゴミ一生大切にします』

と、満面の笑顔で言うに違いない。

それほど、イケメンと平凡の差は大きい。

しかし、産まれながらにしてこんな強烈な武器を持っている人間と肩を並べて歩いている自分はますますミジメになってしまう。

(肩を並べると言っても、それはまた比喩のようなもので、実際は天王寺が大きすぎて肩を並べることすらできないのだが)

人は自分と対等の人間と一緒にいるときは心に多少の優越感を持つこともできるが、明らかな差がある人間の前では、目の前に突きつけられた現実を受け入れるしか無くなってしまう。


神様、僕の身長はまだ伸びますか?


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