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フリントの意思 ーもう1人の英雄ー  作者: けんぴ
1章 ドリュー解放 1つ目の英雄譚
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4話 初めての合成スキル

スキルについて使用後、初めて理解したことがある。エンガイムはスキル使用状態の時に俺の影から出てくるのだ。そしてスキル使用やめると影に入っていく。どういう機構なのだろう…。エンガイムに聞いてみようか。魔獣使役。


『御用でしょうか、サモン様。』


(エンガイム、スキルを使用していないとき、お前は俺の影に入るが、どんな場所だ?)


『ッハ!サモン様の影の中は灰色の世界が続いております。普通の召喚士や使役士は属性によって影の中の世界が炎であったり、風であったりと色があるのですが、サモン様は特殊な属性をお持ちのようです。』


なるほど、それは俺の属性が無だからだろう。


(なら何もない世界じゃないか。退屈ではないのか?)


『外の景色はサモン様の視覚を通じて見えます。それに、サモン様の世界は何といいますか、居心地がとてもいいのです。』


(なら問題はないか…。エンガイムとりあえずこれからは日中外にでてもらい、夜は影の中にいてもらおうと考えている。いいか?)


『サモン様の命令とあれば従うのみです。かしこまりました。』


本当にスライムにしては…礼儀が正しすぎる気がするけど、話が通じないよりはましだ。


と、歩いていると白いスライムが出てきた。


(あれは…見たことないスライムだな…)


『ホーリースライムですね。最近近くで聖属性の気が解放されました。それによりダークスライムが浄化され、聖なるスライムとなったのでしょう。』


ああ、アーサーの聖気か、保護地域の一番奥の森で放ったのに、こんなところまで届いたのか、とんでもないな。流石、神に選ばれた勇者。


(なら、もう魔獣ではないのか?ならば手出しはしな…うお!)


『びぎゃあああああああああああああああ』


すごい速度で襲ってきた。なんだ、浄化されたって言っていた気がするが…


『浄化したというのは属性が変化しただけなので、魔獣は魔獣です。』


先に言え!なら…試してみるか…魔獣合成のスキルを。


(エンガイム、お前にあのホーリースライムを合成してみようと思う。いいか?)


『エンガイム様は合成のスキルをお持ちなのですか?流石でございます。ぜひ、お願いいたします』


…合成のスキルを持ち合わせているのは珍しいのか?どちらかといえば合成がメインのスキルなのだが。


「魔獣合成!」


スキルを口にすると灰色の鎖が手から伸び、エンガイムとホーリースライムに刺さった。そして2匹は吸収され、俺の影から新たに明るいオレンジ色のスライムが出てきた。


『なるほど…これは素晴らしいお力、私とホーリースライムは100%混ざり合ったようです。ぜひ、スキルボードの確認を!』


エンガイムが力を込めて言ってきた。スキルボードを確認してみる。


名前:エンガイム 歳:生後1か月

クラス:セントバーニングスライム スキル:聖なる業火

HP 500

PW 100

DEF 2000

INT 1000

SPD 500

SPI 100

属性 火・聖

合成前:マグマスライム


…変化している。しかも特定の能力は異常に上がっていた。


(エンガイム。強くなり、変化もしている。意識はちゃんとエンガイムのままなのか?)


『ッハ!サモン様、意識はわたくしでございます。此度はホーリースライムに意志が宿っていませんでしたので。』


(なるほど…意識を宿すもの同士だと意識はどうなると思う?)


『そうですね、実力の高いものの意識が残るのか、意識をもつ存在同士では魂の反発から合成が出来ないかのどちらかであると考えます。』


(俺はその意見の後者であると思う。それにしてもエンガイム、お前、生後一か月でどんな知識量と頭をしているんだ。俺の知らないスキルのことについても知っているようだし。)


『おそらく、知識や頭に関しては、サモン様に使役されたからであると考えております。また、スキルなどのことについては我々に関係するものだけ、意識を宿した時に理解しました。』


なるほどな、エンガイム、優秀すぎる。


(ちなみに、今でも人類を襲いたいと思うか?)


『いえ、そのようなことは最早どうでもいいことです。私はただただサモン様のために、この身を捧げる所存。ボルケーノドラゴンなどは私の力で葬り去ってやります。魔王もです。』


あれ、そこまで意識共有しているのか?それは初耳だ。


(エンガイム、もしかして、俺の記憶も知っているのか?)


『いえ、ただサモン様が一度発したボルケーノドラゴンや魔獣に対する怒りは共有されました。私も自らが魔獣であることに怒りを覚えております。』


な…なるほど、そこまでか。ただ。


(エンガイム、お前は魔獣であることに怒りを覚える必要はない。魔獣だったことに罪はない。悪しきは魔王だ。)


これは本心だ。だからこそ、今俺に仕えているエンガイムにはそんな思いはしてほしくなかった。


『サモン様、それは恐らく、サモン様自身が自らを赦された時に同じく私も自らを赦すでしょう。願わくば、サモン様。私はあなたを愛しております。尊敬しております。忠誠を誓っております。その御身を愛してください。』


あ…意識を共有したのだからそうなるのか、俺は少しエンガイムから言われて動揺した。


(まだその点については俺も自らと向き合い始めたばかりだ。魔獣に罪はないことを知ったがボルケーノドラゴンに対する憎しみは心の中にへばりついている。取れそうにない。まだ時間はかかるぞ。)


『私はサモン様と共にあります。サモン様なら、必ずや解決なさることでしょう。』



そこで話題を打ち切り、俺たちはさらに北へと進んだ。


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