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フリントの意思 ーもう1人の英雄ー  作者: けんぴ
3章 心の光
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1話 闇に堕ちる

新章始まりーーー

1話 闇に堕ちる


目の前で命が消えていく―――――――


目の前で闇のエネルギーを防ぐ障壁をサモンたちはもう幾度も幾度も攻撃していた。あの無慈悲な、闇そのもののような男はそれから消えていく街を気持ち悪い笑顔で眺めていた。


「くそ!くそおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


自らの生命を引き換えにするほどの魔力を込め、サモンは障壁を攻撃しようとした。


『サモン様!!』


エンガイムが止めに入ろうとする。それよりも先に。


「おいおい、折角助けてやったのに死ぬのか?我が考えた暇つぶしが無駄になるではないかー。しょうがない、全回復させてやる。」


そういいながら男は瞬間移動し、サモンの頭を掴む。魔力が流れ込み、サモンの身体は癒されていく。


「貴様!!!」サモンは叫ぶ。


サモンを引きはがそうと全員が攻撃を仕掛けるが、効果はない。


「はあー、我はこやつを回復させてるんだぞ?少しは感謝してほしい所だ。お、みろ!地下から兵隊どもが上がって来たぞ!?…おおーーーーいいなあ、絶望に打ちひしがれている。状況が理解できないと見える。ならば…くふふっふ。」


サモンを掴んだまま魔王は瞬間移動した。サモンの抵抗は魔王に微塵も効いていない。


「ふふふふ…はっはっはははっはは!!!下等な人間どもよ。我は魔王。貴様ら人種を破壊し、行く末は皆殺しにするもの!!こやつが竜から守った貴様らの町は私が、一瞬で破壊した。なに、抜かりはない。地上にいた人間は全て命を落としている。無駄な希望など一切持たなくていい!我は正直者だからな嘘はつかんぞ!ふはははははははは!!!」


兵士たちは極限の憎しみを魔王に向け、歯ぎしりをしていた。しかし、同時に無力に掴まれたサモンを見て自分たちでは到底かなわないことを察した。


しかし、スワンはただ一人、魔王に刃を向け、飛び出していった。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


スワンの剣が魔王の肩を貫いた。


「…ぐふ!貴様中々やるではないか…。だが!」


そういって魔王は魔力の剣でスワンの右腕を切り落とし、優しくけりを入れ地上に叩き落した。魔王は小声でサモンに語り掛けた。


「ぐふふ。さあ、わざと食らったことにより彼らの中には魔王を倒せるかもしれないという希望が湧いたぞ?さて彼らはどうするだろうなあ?きっと必死に力をつける。そして我を殺しに来るぞ。そこで我が本気をだして一撃で終わらせてみろ。どんな絶望があやつらを襲う?ふふふ…考えただけでよだれがでそうだ。さて貴様は遠く離れた場所に飛ばしてやる。」


サモンは怒りと吐き気でどうにかなってしまいそうだった。


「今日はこれまでにしておいてやる!!さあ、下等生物どもよ!!絶望を楽しむがいい!!はははははははは!!」


そういって魔王はサモンを魔力により遥か彼方別大陸へと飛ばし、その場から去っていった。




―――――――――――目覚め


サモンは気づくと森の中にいた。


日の光は木々に遮られ、鬱蒼とした森の中、サモンは地面を強く、何度も何度も叩いた。

痛感した己の無力さを、絶望を。


だがそんな塞ぎ込みたいサモンの心情を森は汲み取らない。

突如魔獣たちがサモンを襲ってきた。それは魔王の差し金であるかどうか分からない。ただサモンは目の前の魔獣と対峙し続けた。何時間も何十時間も、やがて洗礼され始めるサモンの技術は有無を言わず、効率的に魔獣を破壊するようになった。魔王への恨みはいつの間にかサモンにまとわりついていた。


「貴様の力を俺に貸せ!」


サモンは集団の中でただ一匹、魔力による攻撃を仕掛けてきたピクシーに魔獣使役を行使した。生まれしは闇に近い存在デスピクシー。サモンの周囲の魔獣から一瞬で命を吸い取った。


「…魔王を殺す。」


サモン・フリント

クラス:サタン・サモナー


憎しみの炎が彼を闇に染めていた。



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