14話 全ての思いを一撃に
サボってて申し訳ありません。ゆっくり更新しますのでよろしくお願い致します。!
かつてホーン・フロッグであったあの竜の思い。
この地で魔物と戦いながら町を守ってきた兵士たちの思い。
カンナ、エンガイム、ララ、コミュさん、ボルの思い。
辺境民の平和を願う思い。
全てを受けたサモンは再び立ち上がった。
『ほう?覚悟を決めたか…その目。我の前に立ちふさがるということだな?』
『ああ…あなたには謝罪の気持ちしかない、それでも俺には守らなければならないものがある。』
『っふ…ふふふふ…、まだ謝罪の気持ちなどと口にするのか…甘い漢よ!!ならば愚かなる人間の守護者よ、我を退けてみるがいい!!我が名はホーン・ハイドロ!魔王様の忠実なる僕…貴様らを駆逐するものなり!!』
竜から凄まじい量の魔力が放出された。そして、竜の上空に超巨大な水球が形成されていく。今までのようなはじき方では防ぎきることの出来ないほどの質量であった。
『させるかぁ!!漆黒の槍突!』
サモンは今までよりも大量の魔力を槍に込め、魔力の源である竜を一直線に狙った。しかし、竜の周りには大量の魔力で創られる結界が形成され、サモンの攻撃は竜に届かなかった。
『…その魔力放出量、あなたもただでは済まないはずだ!』
サモンは竜に向かって叫んだ。
『確かにしばらくは動けなくなるだろうな…だが貴様らを皆殺しにした後のことよ!構うものか!!我と貴様らの格の違いを見せてやる!』
更に魔力は水球へと注がれ、その大きさは村と同じほどになっていた。
『うおおおおおおおおおおおおおおお』
サモンは水球に向けて突進をした。
『エンガイム!コミュさん!力を!!』
サモンとエンガイムは水球に突っ込み内部で爆炎を放っていた。しかし、圧倒的な魔力に阻まれ、水球は内部に更なる魔力を溜めこむ。
『無駄なあがきよ!!その中で水圧につぶされるがいい!!!』
竜は更なる魔力を加えた。サモンとエンガイムが苦痛の叫びをあげる。容赦ない魔力の奔流と水流がとめどなく襲ってくる。
(…何とかして魔力を散し、水の奔流を別の魔力へ変換しなければ)
サモンは苦しみの中で必死に考えていた。魔力変換もここまで莫大な大きさになればどの変換を行っても甚大な被害を招く。
『ふはははは!死ねええ!!』
竜は最後の残りの魔力まですべて放出した。
サモンとエンガイムは必死の抵抗を続けていた。コミュさんのスキルにより能力を限界まで引き上げ、炎の魔力による相殺を続けていたが、エンガイムはすでに限界を迎えていた。
次の瞬間サモンはエンガイムを蹴り飛ばし、ボル、ララも水球の外へと合体解除で押し出していた。
『な!?サモン様あああああああああああああああああああああああああ』
エンガイムがすでに動かない体を必死に動かそうとした。
『心配するな・・・。』
サモンは気を失いそうになりながら、魔力変換の耐性を取った。
凄まじい魔力の中サモンは叫ぶ。
『無の守護者あああああああああああああああ、荒れ狂う暴風の奔流!!』
サモンは膨大な魔力を左手より吸収し始め、更に右手より魔力を用いて凄まじい竜巻を竜に向けて放った。
『なんだと!?ぐああああああああああああああ』
すでに体のコントロールを失いつつあった竜は成す術なく、竜巻に飲み込まれる。
しかし、その頑丈な体にはダメージがあまりなかった。
『っく!!そんな攻撃で我が死ぬわけなかろう!甘いぞ!!』
竜巻の中で竜が吠える。サモンは竜巻を上空へと向け竜を空へと導いていた。
すでに体内を流れる莫大な魔力によりサモンはダメージを受けていた。流れる魔力が大きすぎたのだ。一般兵であれば体がはじけ飛んでもおかしくない。
『…ハイドロ…さん、俺は…負けるわけには…いかないんですよ…』
サモンはそんな中で竜にむけて声を絞り出した。
『黙れええええ!!!下賤なる人間がああああああ!』
竜は水球へ向けて残った残滓のような魔力を用いて小さなレーザーを放った。
そのレーザーはサモンの肩を貫いた。
サモンの脳内には下から響く家族の叫び声が聞こえていた。
(お前ら…大丈夫だ…俺が…守ってやるから…)
サモンは肩の痛みを我慢しながら魔力を許容範囲いっぱいまでため込んでいた。竜巻を作り続けたことで水球は大分小さくなっていた。それはサモンがとんでもない量の魔力を変換し続けた証でもあった。
『これが…俺の…最後の攻撃です…』
サモンは溜め切った全魔力を鋭い風の槍へと変換し、竜巻の中の竜目掛けて放った。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
サモンの雄たけびと同時に音速をも超えた巨大な魔力の槍が竜に向かう。
『…っふ、我の敗北か…、認めよう、人の守護者よ…』
竜は心臓を貫かれ、ゆっくりと地に落ちた。そして、サモンも同時に小さな水球と共に地上へと落ちていく。




