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フリントの意思 ーもう1人の英雄ー  作者: けんぴ
2章 希望を分かつ者たち
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13話 それでも



レーザーはサモンを目掛け発射された。


『『ヴァルキリア・ストリーム』』


エンガイムはサモンの前にたち、圧倒的な火炎流でレーザーを相殺していた。


『『サモン様は私が守ります。』』


サモンは動けずにいた。目の前の竜に槍を向ける理由が見つからなかったのだ。


『エンガイム…俺はどうすればいい?』


エンガイムにすがっていた。


『『…サモン様が答えを出すべきです。』』


エンガイムはそれを赦さなかった。


「何をしてるのよ!!」


サモンはカンナに頭をはたかれていた。叩いたカンナの方がより痛そうにしていたけれど。

そしてサモンの肩を掴み、揺さぶっていた。


「しっかりしなさいよ!いい?サモンは英雄なのよ、あの竜が人間に虐げられたことは理解したわ。だとすれば、非があるのは人間の方ね。」


「だったら!俺は…あの竜に向ける刃を持っていない…」


「なら…ここの住人が死んでもいいと?」


「ち…違う!死んでいいなんて思っていない!だが、俺は…」


「じゃあもう私たちはここの住人に任せて出ていく?サモンが竜と戦えないならいても邪魔なだけよ。」


それが、楽なのかもしれないとサモンは思っていた。村の住民がまいた種なのだ。


「まあ、あなたが出ていけば、どちらにせよ全員死ぬでしょうけどね。関係ないでしょう、あなたには…サモン。」


現実はそうだ。サモンが出ていけば住民たちは確実に全員死ぬのだ。サモンは見捨てたのと一緒だ。


「っつ!!俺は…見捨てられない。たくさんの…命が…」


サモンは力なく立ち上がった。


「そんな状態であの竜にサモンが向かっても死ぬだけだわ。やめた方がいい。」


カンナは冷たく言い放った。目の前ではすでにエンガイムが竜と激しい闘いを繰り広げていた。


「それじゃあどうしろっていうんだ!?俺たちに人間に奪われ続けたあのホーンフロッグを殺せというのか!?…最後の生き残りの彼を…」


「もう魔獣よ。魔王の手先だわ。」


「でも動物だった!!罪なんてない!」


「すでに襲撃で兵士が死んでいるのよ。兵士には家族がいたわ。罪なき命を奪っている。」


「それは彼も…奪われて…」


そのときカンナはサモンに強烈なビンタをしていた。


「あなたは…何を救いたいのよ。私の…憧れの…英雄なのよ…情けないこと言わないで…」


カンナが泣いた、泣きながら胸を叩いてきた。


「俺は…」


「私にサモンが作る辺境地の平和を見せて…」


涙を流しながらカンナが笑顔を作る。サモンを抱きしめた。


「…そうだな。俺は辺境地に平和を創るんだ。動物も、人間も共に暮らす豊な世界を。」


「うん。そうだよ。」


「…ありがとうカンナ」


「いいの、サモンのこと大好きだから。」


「…カンナ」


「ッッツ!」


サモンはカンナに口づけしていた。


「ば…バカ!いきなりそんな!」


カンナが顔を真っ赤にして震える。


「待っててくれ、すべてを救って見せるさ!」


サモンは笑顔をカンナに返した。そして竜と戦うエンガイムの元へ向かう。


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