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フリントの意思 ーもう1人の英雄ー  作者: けんぴ
2章 希望を分かつ者たち
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12話 竜の意志

しばらく更新時間や間隔が不定期になってしまうかも。ごめんなさい。


カンナの目の前に立つサモンは以前よりも遥かに強いオーラを纏っていた。目の前で羽ばたく巨大な竜と相対し、槍を構えている。


『エンガイムとコミュさん!負傷者の治療と安全な場所への輸送を頼む!』


『『2分お待ちください』』


エンガイム達はリンクスによりすでに動き出していた。サモンは超スピードで竜に向かい、攻撃を仕掛ける。


「漆黒の槍突」


竜にサモンが放つ漆黒の槍撃が飛ぶ。


「クリエイト・ハイドロ」


竜が周りに大量の水壁を形成、小竜をたやすく貫く槍撃は無力化された。竜は口に水エネルギーを溜め、サモンに向けブレスを放つ。よければ村へと直撃するように。


「なめるな!無の守護者!!」


サモンはブレスのエネルギーを吸い取りつつ槍を超速回転させ、水を拡散し威力を軽減した。そして、ブレスの切れ目を狙い追撃をする。


「漆黒の槍突!」


今回は竜に直撃していた。しかし、その強靭な表皮には少しのダメージしか入ってい内容であった。


「ぐふふ…やるな…人間…貴様のような強い者は初めてだ!」


竜がサモンに話しかけていた。


「貴様、やはり意志があるのか!?何故に人を狙う!」


「なぜ?…魔王様のご意思を尊重し、貴様らを丁重に葬り去るだけだ。」


「そこまで、強大な力と意思を持つ者がなぜ魔王などに!!貴様はこの地で暮らす動物だったのだろう?この地を荒れさせてどうする!!」


その言葉に竜は憤怒のオーラを満たし、サモンに言葉を返した。


「人間ごときが知ったような口を聞くな!!荒れさせるだと?すでに人間どもによって十分この地域は荒らされておる!!貴様らこそが我が故郷を汚すごみなのだ!!」


竜が巨大な水の爪撃を飛ばす。


「!?ホーリー・シールド!」


爪撃をサモンははじいた。


「貴様らは自らの種族の為に多くの生物の住処を奪い、殺し、そうやって我らを苦しめてきた。教えてやる。我が魔獣となる前の種族は貴様らがホーンフロッグと呼んだ生物の最後の生き残りだ!!我らは貴様らごみに根絶やしにされた、生き残った者も角を奪われやがては死んだ。我らが貴様らに何をした!?何もしておらぬ!!住処を奪われても、移住し、貴様らと触れ合わないように生きてきた!しかし貴様らはある時より我らの角を欲し、我らを殺したのだぁ!!」


更に爪撃がサモンを襲った。


「…ホーリー・シールド」


サモンは力を無くしながら攻撃を弾いていた。


「身勝手なごみ共が!我は貴様らを決して許しはしない。この命尽きるまで、我らの種族の敵を討ってやる!一匹でも多く貴様らごみ共を殺してやる!!」


『サモン!これは戦いよ、早く切り替えなさい!!』

『そうだよサモン!元気出して!!』


ララとボルがサモンに話しかけてきたが、サモンはすでに人間の身勝手さに吐き気がしていた。ホーン・フロッグの角はハイドロの過去の特産品、万病に効くとされた。しかし、ある時から角は流通しなくなった。理由はあの竜が言う通りであれば絶滅だ。あの竜はどれ程の壮絶な環境で生き残ったのか、友人や家族を奪われる経験を何度も何度も重ねたのだ。


「…すまない。」


サモンは土下座していた。


「…何の真似だ?」


「あなたたち種族すべての魂に謝罪する。人間の業が滅ぼした。本当にすまない。」


「…貴様は不思議な人間だな。魂からの謝罪か、なるほど、貴様は他の悪臭を放つごみとは少し違うようだ。そこから動くな。貴様のその謝罪は受け取ろう。しかし、我はこの腐った村に住む人間を根絶やしにする。」


「…それは出来ない!!村に住む人にはそれぞれ愛する人がいる、全員が一つの大切な命だ!!見捨てるわけにはいかない!!!!」


サモンは涙を流しながら立ち上がった。


「そのような考え方のできる人間が何故我らを根絶やしにした!?貴様が引けないなら我は容赦なく攻撃をする。我は引くつもりなど毛頭ない。貴様らが我らにしたように、力のある者が力のない者を理不尽に殺したように!!我も貴様らを理不尽に殺すだけだ!!」


サモンの真上から水流がサモンを襲う。サモンは先ほどのレーザーから得たエネルギーを水流に流し、コントロールし、村の外へと着水させた。


「っく!!終わらない、復讐は連鎖する。ここで村を根絶やしにすれば大量の人間があなたを殺すために立ち上がる!」


「くどい!この命尽きるまで戦うと言ったはずだ!!家族を、友を、すべてを奪われた悲しみを心に封じて耐えろと?そのような苦しみを抱えて生きねばならぬのなら我は死を選ぶ!貴様らもろとも死ぬだけだ!!」


サモンはもう戦う気が完全にゼロになっていた。魔獣に言い放った復讐は連鎖するという文言は自分がボルケーノドラゴンにしようとしていた復讐を全否定したようなものなのだ。ボルケーノドラゴンが殺したいほどに憎い、目の前の存在はサモン以上に憎悪の気持ちを人間に向け持っているのだ。


「…俺は」


サモンは膝をついた。竜はサモンに向け今一度レーザーを撃とうとしていた。


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