7話 抗う心
サモンたちが吹き飛ばされてから3日、小規模に続く小竜の襲来にスワンは頭を抱えていた。村を守ってくれたサモンたちを失ったこと、小竜の襲来、竜が山へと戻ったのは一筋の希望の光ではあったが絶望的な状況であった。
「っく、どうすれば…」
兵たちは疲弊し始めていた。心的な余裕のなさが士気を低下させていたのだ。現在は5頭程度の
「…スワンさん、これを使って!」
カンナはサモンたちが吹き飛ばされて以後、鍛冶場にこもりきっていた。カンナが持ってきたのはミスリルと鋼でできた複数の機構であった。
「名をスパイラル、高速で回転する鋼が竜の皮膚を貫く、中心部にはミスリルをあしらっていますから、魔力を通せば回転力が更に上がるでしょう。時間的に数が10しか用意できませんでしたが、各入口分はあります!」
カンナはサモンやコミュの事を思い泣きそうになっていたが、信じていた。あの2人は必ず自分の元へ帰ってきてくれると。
だからこそハイドロを守る民兵のために装備を作っていた。現状では民兵は小竜に対し20人でようやく一体を相手にできていたが、スパイラルを使えば魔力を十分通せば一人でも倒せる。ケント考案の機構であった。
「カンナさん、ありがたい…、あなたがここまで動いてくれているのに我らハイドロの民兵がこれではいけないな。皆…聞け!これから小竜の襲撃の回数は増えるだろう、精神的に辛いこともある。だが我ら民兵が諦めれば誰が住民を…家族を守るのだ!?最後の一兵まで私は諦めない!このハイドロを守るために!!」
スワンが自身の剣を胸に構え、誓いを立てた。民兵たちも疲弊した心を立て直し、抗う決意をしていた。カンナも自身の為に用意した新たな機構ダブル・ガトリングを腰に差し、小竜との闘いに備えていた。
―――――襲来―――――
更に1日が経過した。観測隊から緊急伝達が入った。
「敵襲!中央入り口上空より小竜!数は15!」
スワン、カンナを先頭に20名の隊で入り口より外に出る。小竜たちは一斉に火球を放ってきた。全員サモンの結界内部に隠れた。未だに効力の消えない結界はスワンたちの希望であり、サモンたちの生存を望める希望でもあった。火球を凌いだ後、地に降り立つ小竜に一斉にかかる。
民兵5名が戦闘の小竜にスパイラルで攻撃を加える。高速回転で小竜のうろこは砕け、肉質の柔らかい部分が表面に露出する。カンナは即座にその部位をダブル・ガトリングで射撃した。小竜が倒れる。魔獣の戦いにおいて重要なのはステータスのみではない。どのように攻撃するのかだ。スパイラルは攻撃が通りにくい魔獣に攻撃を通す機構であった。スパイラル部隊が弱点を作り、残りでそこを攻撃。この方法で一般兵でも小竜を討伐することが出来ていた。
戦闘開始より一時間、カンナたちは小竜15体の討伐を達成していた。これまでは同数の小竜であれば5時間以上の戦闘であった。この事実が民兵たちの士気を更に上げていた。
「我ら、この村を守りきる!!」
スワンが剣を掲げた。民兵たちもそれに従う。ここより二日間、カンナたちは続く小竜の襲来をものともせずに守り抜いていた。




