6話 崩壊の水砲
サモンたちは3度目の襲撃に関する会議を開いていた。スワンとサモンが民兵に向け話をしている。
「今までの魔獣では考えられないほどの統率力だ。ヒトよりも強い統率された集団は脅威と言う他ない…」
スワンは小竜に対し瀕死の状態になるまで戦いようやく討伐していた。コミュがいなければ命を落としていただろう。
「…今後の問題は竜の襲来になる。ここまで襲来がこちらを消耗させることであるなら、精神的には披露しているが、身体的には無問題だ。相手側の予測していないことだろう。」
まるで国攻めのような手法であった。しかし腑に落ちないのはなぜそれをするのかだ。単純に滅ぼすだけなら魔王はそのまま小竜や竜に村を襲わせれば簡単に滅ぼすことが出来るだろう。わざわざこのように精神的な攻撃をしてくる意味が理解できなかった。
「腑に落ちない点は多いが、作戦を立てなければならない。サモン、君はどう考える?」
「…最悪の状況は小竜と竜が同時に襲ってきた場合。竜が複数いたらそれこそ勝ち目が薄い。俺も竜と戦ったことはないが、恐らくはスワンと俺、コミュさんで戦って一体落とせるかだろうな。」
サモンはボルのステータスから成長した能力を予想していた。幼竜であのステータスなら計り知れないほどの能力が竜に宿っていることになる。
「っく、厳しいな…最悪の場合を想定した作戦を立てたいが、最悪の状況が最悪すぎて対応の仕様がない…」
スワンが机を叩く。サモンも必死に頭を回転させていたが、有効な案は何一つ浮かばなかった。
『ッツ!!サモン様!!上空にとてつもなく巨大な反応が!!』
『何だと!?』
次の瞬間には全員がとてつもない気配を感じていた。襲撃が早すぎる。
「まずい、竜だ。全員、構えろ!俺が迎え撃つ!」
サモンは咄嗟に近くの入り口から飛び出した。そして上空を見た。そこには巨大な水球を纏う竜がいた。
「グランド・ウォーター・プレッシャー」
巨大な水のレーザーが発射された。サモンは持ちうる限りの全力でシールドを張った。
「ホーリーシールド!!!」
水のレーザーがシールドにヒビを入れる。
『サモン様!ホーリーシールド!』
『エンジェル・ブレス!』
エンガイムがシールドを2重に掛けた。コミュさんは消費した魔力を回復してくれた。このレーザーを村へ落とすわけにはいかなかった。もし、これが落ちれば壕の中は水で満たされることになる。それは壕の中の命を全て失うことになるからだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
シールドに魔力を込め続ける。しかし竜のレーザーの威力は衰えない。シールドにはじかれた水は村へと拡散される。長時間続けるにも行かなかった。サモンは左手にドル・ファイアの魔力を込めた。
『!サモン様!危険です!』
『わかっている!!だが、これしか手はない!』
『エンジェル・ライト!』
「ドル・ファイア!!」
左手から壮絶な速さで大火球が発射された。コミュさんの魔法により増幅された魔力から放たれる炎の火球はレーザーと衝突し、巨大な爆発が上空へ向かって生じた。サモンたちは衝撃で遥か遠くへと吹き飛ばされた。竜は爆発により甚大なダメージを受け、山へと帰っていった。
しかし、サモンたちが吹き飛ばされた直後小竜がハイドロの上空から襲来していた。数は数十体程度であったが今の村には十分すぎる脅威であった。




