5話 不意な小竜の出現
遅れまして申し訳ないです。明日からはまたいつも通りに。
上空でコンドルがサモンにより駆逐され、入り口に構える兵士たちは上空を見上げ歓声を上げていた。
「…これはやっちまったな。」
『そのようですね。』
エンガイムさんのつぶやきでサモンは大きくため息をついていた。それでもコンドルの即時討伐は兵士からしたら極限の喜びだった。兵士はあくまで兵士、騎士のように誓いをたて命を投げうるような心持ちで戦争や魔獣討伐に向かう者は少ないだろう。
『エンガイム、索敵を頼む。来るならコンドルと同じように空中からだろ。』
『ッハ!』
サモンは引き続き上空で索敵を行った。しかし、その予見は大きく外れていた。数分後、地中から出現した小竜が10体一組で民兵を襲っていた。
「くそ!!いきなりか!」『コミュさん、頼みます。』
『ええ、すぐ向かう!東の入り口にはスワンを向かわせます。西には私が!』
兵士たちが必死に応戦をしているのが見て取れた。サモンはもう一度ハイホーリーランスを放った。集団に光の槍が高速で向かうが集団から魔法壁が発動。ハイホーリーランスは防がれていた。そして防壁を解除した集団からサモンに向けて一斉に火球発射された。
「ホーリーシールド!」
サモンは完全にガードしていた。小竜の特筆すべき性質は防御力の高さにある。防御力だけで見ればコンドルの100倍はあるであろう。半面で攻撃力はコンドルの5倍程度、サモンならば全く問題にならないレベルの魔獣だ。しかし、民兵からしたら恐怖の魔獣だろう。しかも予想以上に統率された動きをしており、すでに何か所か結界内部に撤退を余儀なくされていた。まだ結界は破られていないが、破られ侵入された場合は甚大な被害がでる。
『ララ!』
魔獣騎士の誓いによりララを装備し、中央入り口の小竜に突進した。
「白銀の閃刃光!」
斬撃を打ち込むが、小竜の集団も即座に防壁が展開される。防壁は大破し、3体の小竜に斬撃が直撃したが倒れない。しかし集団のサモンに着地したサモンは回転切りを行い、更に魔法を唱えた。
「バスタード・プロテクション!シックスブレイド!!」
サモンの周りに6つの光刃が展開され周囲の魔獣を切り刻んでいく。サモンのステータスで大量の攻撃を放っていくが、小竜たちは中々倒れなかった。予想以上の時間がかかっていた。30分以上をかけてようやく10体の集団を処理できていた。サモンはそのまま北側の入り口へと急いだ。
『っくそ!エンガイム、小竜が異常に硬い。原因は分かりるか?』
『サモン様…コミュ殿が暴走した際に感じたあの異様な闇の魔力を感じました。』
『な!?俺は何も感じなかったが…』
『魔獣の奥深くです。あのように統率された動きで各々のダメージが最小限になるよう庇いあう魔獣など存在しないはずですが、その魔力により集団内で意識がリンクしているようです。』
『つまりは魔王が何か仕掛けてきているということか…』
『そういうことになるでしょう。今までのような人間を襲うだけの魔獣ではないということです。』
『っく…、厄介だな…とりあえずほかの小竜を討伐する!』
サモン、コミュ、スワンの各々が全力で小竜の討伐をしていた。半日を掛けて、ようやく小竜は全て討伐した。幸い、結界も破られておらず、民兵たちにも被害は出なかった。第2の襲撃もサモンたちは勝利を収めることが出来た。




