第九十五話『アイリー』
「あとは、『リーバー』に向うだけだなぁ、頑張って歩いて船を手に入れよう!!」
そして、しばらく歩いていると、海岸沿いの街『リーバー』にたどり着いたのだった。
「ついたわね!」とカナデが言った。
「港の町だ。」
僕達がたどり着いた、『リーバー』は太陽が眩しく跳ね返る青い海に囲まれた町だった。
「たしかに船が一杯ある、一個くらいもらえないかな」
と、言う僕。何も考えずに船買うってここまで来ちゃったけど、そういえば、船っていくらするんだろう。
「気になった時の検索だ」とスマホを取り出す。
「船 価格」で検索した。
とりあえず、釣りに使うような屋根のないタイプで200万円スタートだった。
「oh!そんなにするのか・・・」
と驚く僕。スクロールすると、屋根が付いている物がでてくる。
「屋根の付いているタイプで500万円・・・」
と、さらに驚く僕。さらにスクロールする。
「さらに、この人数が乗れるものが1000万円・・・」
あまりの高さに、そっと、ページを閉じたくなる僕だった。
「まあ、いい、直接聞いちゃうのが速い」
と、僕がスマホをしまう。値段の感覚も違うし、ここで悩んでいるよりは聞いてしまった方が速い。
「そうね、聞きに行きましょう!」
とカナデが言う。
歩いていると、造船関係のおじさんが作業をしているのみつけて、話しかけてみた。
「お忙しいところ、すみません。新大陸に行きたいんですけど、こちらに、そういう船ってありますか?」
と僕が船のメンテナンスをしていた、おじさんに聞いてみた。
「新大陸!?」とおじさんが驚く。
「おいおい、新大陸に行くのに、ここらの普通の船じゃムリだよ!」とおじさんが言う。
「え?そうなの!」とカナデが驚く。
僕も驚いていた。
イカダで行こうとしなくて良かった・・・
「それができんのは、アイリーのところくらいじゃないか?うちのじゃムリだよ!」とおじさんが続けて教えてくれた。
「アイリー?」と僕は聞き返してしまう。
「そこの造船所の子どもさ!若いのに天才と言われててな、ここの誰よりも凄い船をつくっちまった!」とおじさん。
「へー、それは凄い!」僕は感心する。
「行ったらお会いできますか?」と聞く僕。
「ああ、いると思うよ!」と、おじさん。
「ありがとうございます!お会いしてみたいと思います!教えていただきありがとうございました」
と丁寧にお礼をいった。
「気にするなって!」と言葉遣いは乱暴だが、気のいいおじさんだった、さすが海の男。
「おどろいた、そんな丁寧な言葉がスラスラ出てくるのね!」
「ふっふっふ!大人ですから!」と両手を開いて僕はわらった。
「はいはい!」とカナデも笑っていた。
そして、その造船所についた。
「はい、いらっしゃい!」
そこには美少女が立っていた。とても可愛らしい外見に見惚れてしまったが、目的を思い出して聞く。
「あの、アイリーさんという方を探しているんですが!」と僕がその少女に訊ねる。
「はい、私ですが!」
天才と名高い、アイリーは美少女だった。




