第九十三話『リーバーへ』
「よし!買いに行こう!!船を!」
と僕は言った。
「って、船って、どこで買えるの?キョウちゃん!」
と聞いた。
「リーバー」とキョウちゃんが即答する。
「リーバー?街の名前?」僕が訊ねる。
「そうよ、海岸沿いの街ね」とカナデが答える。
「近いの??」と僕が聞く。
「近いと思うわ、あの洞窟を通らないといけないけど。」
と、ここ『ギリムウィル』に来る時に通った、洞窟を通る必要があると教えてくれるカナデ。
「ああ、ケルベロスが居た、洞窟か、ちょうどいい、ちゃんとハーデスちゃんの言うことを聞いておとなしくしているか見に行こう。」と僕は言った。そこが担保されないと、ヒビキさんが気持ちよく一緒にこれない。
「心配せんでも、人を襲ったりせんわ。私は魔王じゃぞ!!魔王のいうことは絶対じゃ」と自信満々の魔王ことハーデスちゃん。
「この近辺の魔物は・・・だよね?」ハーデスちゃんの口ぶりだと、この世界すべての魔物というニュアンスに聞こえるが、もともと、ハーデスちゃんの言うことを良く聞くエリアだけ、という話だった。
「うむ、少なくともそこの洞窟は私の管轄だから大丈夫じゃ」洞窟はハーデスちゃんの言うことを聞くエリアとのことだった。
「ほんとかな〜」と僕が疑う。ハーデスちゃんのいうことを全部真に受けると、大変な予感がビシバシするので、少しずつ検証していくことにしている。
「確かに心配になってきたわね」とカナデが言う。
「実際のところ魔王城の中ですら怪しいと思っているところなんだ!」
「いったい、どれだけ信用がないんじゃ!!」
「まあ、いいや、それは明日確認しよう!今日はこの辺で、
解散して、明日『リーバー』に向かおう。そして、そこで船を手に入れて、海を超えた先にあるかもしれない、大都会に向うって感じで」
と、僕が今後の予定をざっくり説明した。
「わかったわ!」カナデが言う。
「うん」キョウちゃんが言う。
「それがいいわね」と胸に手を持ってきて微笑むヒビキさん。
「よし、では今日は解散!」
そういうと、お腹いっぱいチームは帰って行き、まだ食べられる人は食べ、なんとなく片付けをして解散した。
そして、皆が帰った後、発電機をくるくると回し、スマホの充電を進めた。今日も大変役に立った。ありがとう、スマホ。
と言いながら、うとうとしていた。
「おお!」
起きたら朝だった、発電機を抱えて寝ていた。
寝ている間に充電が進んで進んでいた。
もちろん勝手に進んだわけではなく、うとうとしながら相当回していたらしい。
これを極めれば、寝ている間に充電が可能になる。
『睡眠学習』ならぬ、『睡眠発電』。
ぜひとも極めたいところである。
疲れは取れなさそうだが。
起きてから、なんだかんだで準備をしてゆっくりしていると
コンコン、とノックが聞こえる。
「コータ!行くわよ!」とカナデがやってきた。
今日は朝五時とかではなく、常識的な時間だった。
うしろに皆も来ていた。
「よし、じゃあ、行こう!『リーバー』に!」
と僕が皆に行った!




