第九十二話『船は作れるか?』
「船?」キョウちゃんが食いついた。
「たのしそう」
そう、僕らの新たな旅が始まる。
「船って自作できるのかな??」
と僕はスマホを取り出して、検索を始める。
「船 自作」
でまずは検索する。
表示された文字を、さささーっと、スクロールするが、ぴったりというものはない感じがする。自作は違法?という単語も、ちらちらと目に入る。
「ああ、船って勝手に作っちゃいけないのか・・・」
と僕が理解する。車とかと一緒で車検みたいなものがあるということだろう。それはそうだよな。沈んだら助かる方法がほぼない・・・。ただ、作っていいものと悪いものがあるようではあった。
船は思っている以上に危険な乗り物らしい、車とかと違って交通事故は少なそうだけど、穴が空いたりして、沈んでしまうと、助かる方法がほぼない、船で来た距離を泳いで戻れるような人がどのくらいいるのか・・・と考えると確かに危険。
「船は普通に難しいらしい」
うっかり、必要な所を薄くしてしまって、沈没してしまったりとか、いろいろな例があるらしい。うむ。やめておこう。
「船の自作とか楽しそうだったけどなー!」
「おもしろそう」
キョウちゃんも頷いた。
「いっこ試しに作ってみても良さそうだよね〜」
と諦めずにもう少し検索する。作ると、使わなくても原理がわかる、といろいろ、良いことがある、と思う。ネットの情報があると、試しに作ってみるというところまでがかなり速い。それが『知の高速道路』ということだろう。
「イカダ?」
と、船の自作の話を聞いていた、カナデが笑う。
「そうそう、イカダのもうちょっとちゃんとしたやつ」
鉄とか金属の加工は難しいだろうし、木とかが限界だろうな。でも、板を同じ厚さに整えるにはいろいろ大掛かりな道具が必要そうだし、やっぱり自作はむずかしいのかなぁ。
「しかも、探してもそのままピッタリ作り方みたいなのは出てこないね、船の模型の作り方とかが多い。」
と僕。
「やっぱり、作っちゃいけないから、情報が後悔されてないのかな」と推測する。あとは企業の中にだけノウハウとして蓄積されているのかもしれない。
「いかだ 自作」
だと、どうだろう!
とめげずに検索する僕。
「おお!たくさんある!カナデ、ナイス!!」
と僕がカナデに親指を立てて感謝を伝える。
「ああ、たくさんあるけど、僕のおもってたイカダとちょっと違う。」と僕。
「木を並べるだけだと思っていたけど、ペットボトルやタイヤを木の下に置いて、浮力を高めるらしい。なるほどー!」
でもタイヤもペットボトルも元いた世界のテクノロジーじゃないと作るのは難しそう。
「いかだ 浮かない」
でも検索してみる。
沈んだ例がたくさん出てくる・・・
素人が手をだしてはいけない領域のようだ。
「うん、船は難しいね!」
と僕は笑った。
「よし!買いに行こう!!船を!」
と僕は言った。




