第八十三話『かけるか、かけないか』
「それより、これ!」とヒビキさんが言う。
「あ、そうだった」と思い出す僕。
「じゃーん、ここにレモンがあります」という僕。
「きた!」とキョウちゃんが目を輝かせる。街で買いに行った時から楽しみにしていたのだ。
「すでに切ってあるのがこちら!」
と絞れるように切ってあるレモンを取り出した。
切ってない方のレモンはさっとしまった。
「じゃあ、なんで、切ってないの最初に出したのよ」
と笑うカナデ。そういう伝統なんだよ!と答える僕。
僕の世界では古より伝わる伝統なんだ。テレビのお料理番組では!
「それどうする?」
と、キョウちゃんが不思議そうに聞く。
確かにこれを初めてみたら、何をするのか分からないかもしれない。なので早速やってみることにした。
「こうします!」
とキョウちゃんの唐揚げに向かってレモンを絞る僕。
勢い良く汁が唐揚げにかかる。
揚げたての唐揚げが水分をあび、ジュワっとなる。
おお、おいしそう!
「おお!」
とキョウちゃん。感動している様子だ。
「プシュってなった!」
と、さらに感動を口にするキョウちゃん。
「うん、次のは自分でやってみるといいよ、それも楽しいから」ある意味アトラクションの1つと言える。
「うん、やる」とキョウちゃんが答えた。
まずは、今かけた唐揚げを口にする。キョウちゃん。
顔がぱああぁぁぁぁっと明るくなる。
「どう?」
と僕は聞く。顔を見ればわかるが聞いてみた。
「美味しい!」
と、絶賛するキョウちゃん。
かなり気に入ってくれているのがわかる。
「良かった!」と僕。
「新しい味!!」とキョウちゃん。
「かけるまえもかけた後も美味しい」
と、さらに付け加えるキョウちゃん。大絶賛である。
「うんうん、それは良かった。好きじゃない人もいるんだよ。大好きな人もたくさんいるんだけど」
だから気に入ってもらえて良かった。
「かける派とかけない派で激しい戦争が日夜繰り広げられているという。」
僕が伝統のバトルを口にする。
「そんな争いが!!」とカナデが言う。
「他の人の唐揚げにも、勝手にかけちゃう人がいて、戦争になるんだ!」と戦争の火種を説明する。
そんな話をしていると悲鳴が聞こえる。
「ぎゃー、すっぱい!!誰じゃこんな酸っぱいものをかけたのは!!」
と、僕がこっそりかけた唐揚げをハーデスちゃんが食べて怒る。
「ほら、こうなる場合もある」と笑う僕。
「私でためすな、コータ!!」
とハーデスちゃんに怒られた。す、すいません。つい、うっかり・・・。
「かけたほうが美味しい」とキョウちゃん。
「うーん、私はかけないほうが美味しいかなぁ」とカナデ。
「どっちも美味しいわねぇ」とヒビキさん。
見事にバラバラになった。
そんなこんなで唐揚げパーティを楽しんだ皆だった。
「さて、お腹もいっぱいになったし、街にでも行ってみますかね?」
「街・・・とな・・・?」
僕の提案に、ハーデスちゃんが食いついた。




