第七十九話『和平交渉』
僕のお腹に、ナイフが刺さろうとした、その瞬間。
シュッと音がして、ナイフがはじけ飛んだ。
キィィィンと。
クナイが飛んできたのだった。
ハーデスちゃんのナイフがクナイで吹き飛ばされる。
「ハーデス、やりすぎ」
そう、倒れていたキョウちゃんが、最後の力をつかって僕があげた、クナイをハーデスちゃんに向かって、投げたのだった。
「これで、ハーデスちゃんの攻撃は全部防いだかな・・・?バイデントも預かるね」
と、ひょいひょいっと、ハーデスちゃんの兜と槍とナイフを没収した。
「さて、話し合いをしようか!ハーデスちゃん。戦いは終わりだ!」
と僕が両手を広げて笑った。
終戦宣言をして、僕は和平交渉に移る。
真の戦いはここからだろう。
暴力で解決しなければいけない部分は終わらせた。
「話し合いじゃ・・・と?」
何を言っているのか分からないという、表情の魔王ハーデスちゃん。
「あ、いつものハーデスちゃんに戻ったね!」
と、僕は笑った。
さて、と。
「ヒビキさん、お茶にしてもらえますか?」
と僕は、ヒビキさんにお願いする。
美味しいお茶を飲みながら、話し合いをしたいよね。
リラックスしながら。
「お茶・・・?」
と、ヒビキさんが言う。
「この状況で・・・お茶って何考えてるの?コータ。ここまで魔王を追い詰めたんだから、とどめを刺さないと!」
とカナデが言う。
もちろんそうだろう。
そのためにここまで来たんだから。
でも。
「それは僕がさせない」と、にっこり笑った。
「え?」とカナデ
「え?」とヒビキさん
二人が僕の言葉に驚いたようだ。
「なん・・・じゃと・・・?」
と、ハーデスちゃんも驚いていた。
「僕はどちらかの味方というわけじゃない、なぜなら宇宙人だからね」
と手を広げて僕は言う。ここは僕にとっての異世界だし、彼らからみたら宇宙人だろう。
「宇宙・・・人・・・?」
と、言うハーデスちゃん。
「そそ、どの宇宙からきたかは僕もわからないんだけどね」と笑う。そう、スマホという宇宙意志に接続して、宇宙文明を駆使して、魔獣たちを倒していたというわけだ。この世界から僕を見たら、そうなる。
「だから、僕は中立。これから皆で話し合えばいいと思う。お茶を飲みながらね!」
お茶を強調して笑った。
「はなし・・・あう・・・?」ハーデスちゃんが言う。
「そそそ、だって言葉通じるんだし」僕が答える。
「いやよ!魔王が私たちに何をしたと思ってるの・・・?」と、いつもは冷静なヒビキさんが言う。
「そこをなんとか・・・」
と、僕がヒビキさんにお茶をお願いする。
「いやよ!!」
と、ヒビキさんが言う。こんなヒビキさんは珍しい。
すると、ガタッと音がする。
キョウちゃんが立ち上がった音だった。
「私が淹れる」
と、ハーデスちゃんのバイデントにやられ倒れていた。キョウちゃんがボロボロになりながら、立ち上がって言った。




