第七十五話『隠れ兜』
「了解」
シュタッ!
とその瞬間キョウちゃんの投げナイフが『エキドナ』に突き刺さった
そう、初めてのダメージを与えたのだ。
うめき出すエキドナ。
「キエエエェェェェェェェ」
という、声なのか、ヘビの鳴き声なのか分からない音が僕らの耳に届く。美しかった顔に狂気の表情が浮かぶ。
「最大のチャンス到来だ!!」
天井を蹴り着地していた。
僕がそのまま、エキドナに向かった。
ナイフを握る力も強くなる。
僕は、走りだし、大きくジャンプをして
振りかぶってエキドナに斬りかかる。
エキドナは大きく避けようとしたが、キョウちゃんのナイフが刺さったままで、弱っていたので、動きが鈍くなり僕の攻撃をかわしきれなかった。
「グエエエェェェェ」
凶悪な鳴き声が響き渡る。
僕の攻撃が当たり、エキドナの翼を片方、切り落とした。
これで機動力をかなり奪ったはずだ。
だが同時にエキドナも攻撃してきており、ヘビの部分をしなるように使い僕が吹き飛ばされた。
僕は吹き飛ばされ、地面に落ちる。
エキドナは、浮力を失い、ドンっと地面に落ちる。
そして、最大のチャンスがやってきた。
この位置関係がかなり良い。
また、キョウちゃんの射線が完全に通っている。
射線が通っているとは、つまり、エキドナとキョウちゃんの間になにもないということだ!!
2回目のチャンスだ。
1回目もしっかりキョウちゃんは当てている、このまま当てれば、この戦いは勝ちだ。みんながそう確信した。
「キョウちゃん、チャンスよ!」
とヒビキさんがキョウちゃんに言う。
千載一遇の好機がやってきた。
ここでナイフを当てたら、エキドナを倒せる。
「うん」
とキョウちゃんがナイフを投げようとした。
その時。
「えっ」
キョウちゃんがそう言った瞬間。
前に倒れる。
持っていたナイフも手から滑り落ちる。
「どういうことだ??」
と僕が言う。
すると、キョウちゃんの体に槍が刺さっていた。
そう、ハーデスの武器『バイデント』だ!!!
何もないはずの空間から、攻撃をうけたのだ。
僕は「はっ」と気が付く。
そういうことか、と走りだしキョウちゃんの元へ向う。
そしてその何もない空間に蹴りを入れる。
「ぐえっ」
と言いながら、少女が地面にたたきつけられる。
そして、何もなかった空間に少女が突然あらわれる。
そう、そこにはハーデスの姿があった。
そして、兜が転がっていた。
「この兜、やはり光学迷彩ってことか」
と転がっている兜を指差した。
光学迷彩はSFに出てくる透明人間になるマントのことだ。
落ちている兜と、突如現れた美少女魔王のハーデスちゃんという2つの事実から推測が確信に変わる。
この兜が、被ると姿が見えなくなる「隠れ兜」だということだ。
このことはネットにも書いてあって、なんとなくは存在を知っていた。
まさか実在するとは信じていなかったが。
そして、僕らは追い詰めつつある、エキドナとハーデスちゃんに
ともう一度、対峙する。
「キョウちゃんが心配だ。素早く終わらせるよ!」
と言って、剣を構えた。




