第七十〇話『魔王城最後のボス』
「いかにも『ケルベロス』は私の番犬じゃ」
美少女魔王ハーデスは頷く。
そして答え合わせは続く。
僕の推理に美少女魔王ハーデスちゃんが正しい、と答えを教えてくれた。親切な魔王だった。この子がほんとに、人間たちを恐怖に陥れてきた、モンスターたちのボス、魔王だというのだろうか。
僕は続ける。
「今まで出てきた、ミノタウロスを覗くボスは実は兄妹なんだ。」
僕はこれまでの戦闘で、闘いながらも検索していたので、このことには割と早めに気がついていた。共通する親の名前を毎回見かけていたからだ。ただ戦闘には直接関係ないから、読み上げたりはしてこなかった。
「今までのボス?『ケルベロス』『ヒュドラー』『ミノタウロス』『キマイラ』だったわね」
とカナデがこれまでを振り返る。
ヒビキさんに教えてもらったので、今度はすっと出てきたようだった。しかし、相変わらず、そのメンバーを聞くと、そんな神獣クラスがポンポンでてくるこの魔王城のヤバさにきがつく。普通はこんな神獣のオンパレードが出てきてたりはしない。
「そう、つまり『ケルベロス』『ヒュドラー』『キマイラ』」
僕が整理して、言いつつ、ハーデスちゃんの方をちらりと見る。うむうむ、と頷いている美少女ハーデスちゃん。その振る舞いと、その可愛らしい子どものような外見がまったくマッチしてなくて、可愛い。
「そして、このあと出てくる最後のボスが、この子達の親なんじゃないの?ハーデスちゃん」
と、ドヤ顔で、ハーデスちゃんを見る僕。
そう、この流れでだいたい予測はついていた。
そしてこの少女には高い戦闘力はなさそうだ。とも思っていた。
「おぬしは何でもわかるんだのぉ」
と、立ち上がる、ハーデスちゃん。
その笑顔からはプレッシャーを感じる。
少女とはいえ、この世界を統べる。王。ハーデス。
「お茶はとても美味しかったがのぉ、お前たちを素直に帰すわけにはいかんのじゃ」
と、ハーデスちゃんは、冥界の王のトレードマーク、二又の槍『バイデント』を掲げる。そして光りだす、『バイデント』冥界の王の魔力を肌で感じる。
これは、確かに本物だ・・・。
本物の冥界の王。ハーデスだ。
「お前の望み通り、戦ってもらおう、魔王城最強のボスと!!」
「お前じゃない、コウタだよ!」
と笑いながら注意する僕。目上のものに向かってはちゃんとしないとね、と。
その声を軽く笑って、ハーデスちゃんは最強の魔獣を呼び出したのだった。そう、そこには不死身のモンスター。が現れつつあった。
「敬語のできない、ハーデスちゃんへの、お仕置きは、このボスを倒してからにしますか!」
と立ち上がる僕。みんなもそれに合わせるように立ち上がる。キョウちゃんがパパパっとティーセットをしまう。
そう、ハーデスちゃんの合図により、魔王城最後のボスが現れた。
『ケルベロス』『ヒュドラー』『キマイラ』の親。
そう『エキドナ』だった。




