第六十六話『キマイラ戦決着』
「グオオオォォォォ」
初めてダメージを受けたキマイラが叫び暴れだす。
そう背中にナイフが刺さっている。
これは、伝説と同じ。
ペガサスに乗る英雄ベレロポーンに矢を射られて退治された。
その伝説と同じなのだ!!
矢が投げナイフに変わっただけで、現象としては同じ。
そう、これはとてつもないチャンス。
「一気に攻めよう!!」
僕らはこのチャンスを逃さず、総攻撃の姿勢をとった!
僕はすかさず『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を振る。
すると、僕が相手をしていた『ライオンの首』を一振りでやっつけた。
背中の痛みで、集中力を欠いていたのだろう。
もともと互角の戦いをしていた、僕とライオンのバランスが崩れたのだった。
すると、呼応するようにカナデが、ヤギの首をやっつけた。
そちらも同じだった。ほんの少しの差だったのだ。少しの集中力の差が結果として現れる。
最後のヘビの尻尾が、ヒビキさんにターゲットを決め。
体全体を支配する。
ヒビキさんに向かって、方向転換し、猛ダッシュをする。
体当たりをする気だ!!
しかし、これは、かなりマズイ!
後方支援の彼女たちに直接攻撃をされるのはかなりのピンチだ。
彼女達は防御力が高くない!
「『覇竜の宝石』力を貸してくれよ!!」
と、宝石に話しかけながら、走りだす。
いままでにない、全速力で!
キマイラの持つ、ヤギの足より速く、進みたい!
キマイラがヒビキさんにたどり着くより速く!!
キマイラに追いつきたい!!!
と願いながら、全力で走っていると
『覇竜の宝石』が光りだす。
体全体に光が移る。
僕の体が光におおわれる。
体が軽くなり、力にもあふれる。
一歩一歩が大きくなり、距離が縮まる!
「おおおおおおぉぉぉぉ」
と叫びながら、僕はキマイラに向かって飛びかかる。
ギリギリ間に合ったようだ。
キマイラがヒビキさんにたどり着くよりも速く、僕がキマイラにたどり着いた。
そしてキマイラの背中に向かって『覇竜の宝石』に呼応するように光輝きだした『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を掲げ、振り下ろした。
ズバアアアアァァァァン!
その光はキマイラに襲いかかり、ヒビキさんにたどり着くより前に、合成獣キマイラに致命傷を与えた。
そう、つまり、キマイラを倒したのだ。
伝説上のモンスター。怪物。神獣。
ライオンの頭部、山羊の体、毒蛇の尾を持つ。口からは火炎を吐く最強のモンスター、『キマイラ』を!!
「おおおおお、やったぁ」と喜ぶ僕。
「たおしたぁ」と喜ぶカナデ。
「倒した」とキョウちゃん。
「やったわね!」と胸に手を持ってきて喜ぶヒビキさん。
すると、ちいさな人影が、上の階から降りてくる。
子ども・・・?上の階??
上の階はそろそろ魔王くらいしかいないのでは・・・?
と思ったところで、人影がくっきり映るようになった。
そう、やはり、こどもが上の階から降りてきたのだ。
「よく倒したの!キマイラを!!」
そこには、美少女が立っていた。そう、彼女が魔王。




