第五十八話『風圧』
「力の勝負になるってわけね!」
と僕は『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を抜いた!
『覇竜の宝石』が光りだす。
『覇竜の宝石』は僕の力を増幅する。超常の力を僕に与える。この力が発生している間は、僕の力やスピードは何倍にも上がる。
「一気にいく!」
と言いながら、宝石の力により包まれた光を纏いながら、ミノタウロスに向かっていく。ミノタウロスは、慢心しない。僕をしっかりみる。しっかり敵とみなす。全力で僕と戦う。
とりあえず、ジャンプして、普通に斬りかかる。
もちろんその動きをしかり見ているミノタウロス。
僕が近づく前に大きく斧を振るミノタウロス。
グオオォォォォォン
世界が圧縮される。
「うおおおぉぉ」
その風圧で後ろに飛ばされる。
ミノタウロスに吹き飛ばされる。ただの斧圧で。
当たったらどうなってしまうのか。
と、思いながら、そのままバク宙をして着地する。
「バク宙なんて、元いた世界では、できなかったな」
と笑う。
「『覇竜の宝石』の力はすごいな」
と、首にかけてある、『覇竜の宝石』を見る。
かなり光っている。
「僕のやる気に呼応しているのかな??」
と僕が推測する。仕組みはちっともわからなかった。
でも、いままでも困ってる時には力を貸してくれた。『覇竜の宝石』だ。これからもお願いしたい。
「やる気出すともっと光るかな」
と今までの傾向からさらに推測してみる。
「やる気でろ〜!」
と、『覇竜の宝石』に向かって唱えてみるが、特に変化はなかった。
「やる気ってそういう風にでるものじゃないか」と笑う。
「さって」
と手を伸ばし『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を構える。
「もういっちょ!!」
とミノタウロスに向かって走っていく。
前回よりも、早く。
前回よりも、強く。
前回よりも、高く。
そして、空中でひねりを入れて、その勢いでミノタウロスに斬りかかる。
そう、まるでゲームのように体が動く。
自分の体じゃないみたい。
「コータすごい」と動きを見ていたカナデが驚く。
「かっこいい」とキョウちゃんがいう。
「すごいわ!」とヒビキさんが言う。
「ご婦人の皆様応援ありがとう!」
もちろん婦人ではないのはわかっているが、紳士的なお礼ってこう言うんだっけな、と思って言ってみた。
そして、その攻撃はももちろん、ミノタウロスに防がれていた。
「うーん、ちょっと強すぎやしませんか??」
と素直な感想を口にする僕。
「全く近づけない・・・風圧。反則なんじゃないの?風のバリアじゃん、そんなの・・・」
とミノタウロスの強さを分析する。
とにかく近づけない。
「風なんとかしたいな。こちらの動きが読まれてるのが問題だよなぁ」
と考える。読まれている?読まれないようにすればどうしたらいいのか・・・分かったぞ。と頭のなかで一人作戦会議。コータ会議が繰り広げられていた。
そして・・・
「よし、次はこれで行こう」
作戦が決まった僕はさらに強くナイフを構えた。




