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第五十二話『正しくはヒュドラー』

「行きましょう!」

ヒビキさんがみんなに言う。

そして僕らは魔王城に向うのだった。


「おじゃましまーす!」

と、明るい感じで、魔王城の扉を開けてみた。

ギギイとなるものの簡単に扉が開く。


「あ、あっさり入れるんだ?」と僕が言う。

「そうね、こういうものなのかしら?」とカナデも言う。


「全員入ったね」と僕が確認した途端。ドアが光りだす。

「あ、これは!!しまっ・・・」と僕が叫ぶ。

が、それはすでに遅かった。

ドアは魔力で強く光、バタンと閉まる。


「ああぁぁぁ」と僕が言う。

「え?なに??」とカナデが聞く。


「こういう、ラストダンジョンで勝手にドアが閉じる場合は・・・」

ドアを開けようとすると、ドアが光る。

おもいっきり体当たりしても何もおきない。


「ああ、やっぱり」

「どうゆうこと?」カナデが聞く。


「魔王の魔力で、閉じられちゃったみたいだね。となりが街だから、いつでも帰れると油断していた。封じ込められた」

「大丈夫、最初からそのつもり」とキョウちゃんが言う。

「そうね!魔王を倒すまで帰るつもるはないわ」

「そうよ!」とカナデも言う。


「頼もしい!」と僕も微笑む。

「確かにセーブできるわけじゃないしね。どのみち負けたらいけないんだし、まぁ、いいか」と続ける。


「とはいうものの、このパターンはいきなり強いボスが出てくるパターンだよね」そう、閉じ込めた、ということは、『そういうこと』なのだ。


「グググゴゴゴゴェェェォォォ」と響き渡る呻き声。いままで聞いてきた声とは比較にならない程に大きい。

「ああ、ヤバイの出てきた」と僕が言う。


「グググゴゴゴゴェェェォォォォォ」

「ググギギギキィィィェェェォォォ」

「ゴゴゴゴェェェォォォゥゥゥゥゥ」

「ググルルィィィェェェォォォウウ」

「グググゴゴゴゴェェェォォォオオ」

「ググギギギキィィィェェェォォォ」

「グググゴゴゴゴェェェォォォィィ」

「ググギギギキィィィェェェォウウ」

「ググギギギキィィィェェェォォォ」

複数の鳴き声がこだまする。


「いち、に、さん、し、ご」と数え始める僕。

「しち、はち、きゅう」と数え終わる。


「9個の首。これは・・・」9の首を持つ竜といえば。

「ヒドラか・・・いきなり激しいのがでてきたなぁ」と僕が答えを出す。


「行くわよ!」と、いきなり斬りかかる、カナデ


一体の首を切り落とす。


「やった」と喜ぶ。


「いや、これがヒドラだとすると・・・」と僕が言う。なんとなく想像はついていたが、正しいことを知るために『ヒドラ』で検索する。


「ヒドラ - 正しくはヒュドラー」

「ヒュドラーね!いつものやつ来ました。」と正しく発音してみる僕。


「一本の首を切り落としても、すぐにそこから新しい2本の首が生えてくる。」

と読み上げる。


「ええっ?」とカナデが驚く。

カナデが切り落とした首が光を放ち、二本の首が生えてきた


「なるほどですね」

僕は、なにもわかってない、営業マンがよく言うくちぐせを口にした。


「これは倒しがいがあるよね!」

と僕は『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を構えた。


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