第四十八話『唐揚げの隠し味』
「交代」
戻ってきたカナデと僕に対してキョウちゃんがそう言った。
「はいはい!わかってるわよ!!コータ、じゃ、またね!」
と部屋にもどっていくカナデ。
「道具やさんに行く感じ?」と僕が聞く。
「うん」次はキョウちゃんのショッピングだ。
カナデとの朝の市場デートを堪能して、次はキョウちゃんと遊ぶ。しかし、カナデに振り回されてヘトヘトの僕だった。なぜなら5時おきだから。カナデはよく元気だな・・・。
「道具屋さんにいく前にちょっと休憩しよう。疲れたよ」
と僕がキョウちゃんに提案する。
「わかった」
キョウちゃんは何も文句を言わずに頷く。
「カフェないのカフェ?」
休憩といえばカフェだ。現代では多分。もっといい場所があるのかもしれないけど僕は知らなかった。
「カフェ?」
と僕の言葉に質問を返すキョウちゃん。
「お茶が飲める場所」と簡潔に応える僕。
「ある」
そう言うキョウちゃんに連れられて僕らはカフェに来た。
「ふぅ、これで一息たなぁ、現代人はこんなに歩き慣れてないから、へとへと」と、机に突っ伏すジェスチャーをする。倒れるほど疲れているわけではないので、大げさだが
「大丈夫?」
と、心配そうにこちらを見る。キョウちゃん。なかなか可愛らしかった。
「大丈夫大丈夫、少し休んだら、どこでもいきますよー、道具屋でも武器屋でも!」と僕がテンションを上げてそういう。
「うれしい」と微笑むキョウちゃん。
ふと、キョウちゃんのリュックが目に入って気がついた。
「あ、道具少し減った??」
と、僕がキョウちゃんの少し控え目になったバッグを見て言う。
「昨日まではパンパンだった気がする」と僕が言う。
「整理した」と応えるキョウちゃん。
「戦闘中はなかなかできない」
とホントは常に整理したいというニュアンスを含んで簡潔に言うキョウちゃん。
「そうだよね、集めるだけで精一杯だよね」
いつも戦闘後にかなり忙しそうなキョウちゃんを見たので納得した。戦闘後は別のモンスターもくる可能性があるし、大事なものをとり忘れるとかなり困るしで、アイテム使いの腕の見せどころなのだ。
「そう」
と応えるキョウちゃん。
「今回はかなりいろいろ倒したからなぁ」
とここまでの洞窟からの道のりを思い出す。
「まずはなんだっけ?唐揚げ食べてー、ビッグスコルピオン倒してー」
と、洞窟で倒してきた、モンスターを指折り数える。
「唐揚最高」とビシッと親指を見せるキョウちゃん。
洞窟に入る前のところに食いついた!
「あ、唐揚げで思い出した。ふっふっふ、これ何だ??」
「レモン」
「そう、このレモン何に使うでしょうか!!」
「飲む??」とキョウちゃんが推測する。
違う、という顔を僕がしているのに気がついたのだろう。
手のひらを出して静止するよなポーズで言う。
「待って!」
キョウちゃんは考える。
「唐揚げに・・・使う・・・?」
話の流れから推測するキョウちゃん。さすがい頭の回転が速い。
「そう、これを絞ってかけるんだ。するとさらに美味しくなるんだよ!」
と僕が言う。
「ほほう」と頷くキョウちゃん。想像しながらいろいろ考えているようだ。
「楽しみ」
キョウちゃんがにっこり笑って嬉しそうにそう言った。
「さて、ゆっくりできたし、道具屋さんに向うおう!」
続きの話は歩きながらでも出来るし、と思いキョウちゃんを連れ出した。




