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第四十二話『手回し充電器』

微笑みながらヒビキさんがこういった。

「さて、ギリムウィルに行くわよ」

素材回収など、諸々の作業を終えて、彼女が全員に出発する事を告げた。


そうして、みんなが立ち上がった。

立ち上がったところで僕が大事なことを思い出した。

「あ、ちょっと待って!!すごい大事なものを忘れていた!!」

と僕がみんなの歩みを少し止める。

みんなの頭にはてなが浮かぶ。

気にせずごそごそと、バッグを開ける、そして、取り出す充電器と充電コード。


「これこれ!」

と、『最新式の手回しラジオ』こと『充電器』を取り出す。

てってれてって、てーててー!!

と、道具を取り出す時の例の効果音が自分の頭に聞こえてくる。ここにいる女子のだれにも伝わらないだろうけど・・・。


カナデあたりはあのキャラクターをみたら喜ぶだろうか。

カナデのかばんに付いている、僕のあげた『ひょっこりくまのすけ』のストラップが視界に入る。ひょっこりとね。


「くるくるしなきゃ!くるくる」

と言いながら充電コードをつなぐ。この手回し充電ラジオは、スマホの充電もできるスグレモノなのだ。手回し5分で、30分の待受。動画が何分持つかは、いまのところ考えないでおこう、ひたすら回す。


「かっこわるい」

さっきプロポーズ?をしてきたキョウちゃんに言われた。

たしかに歩きながら怪しいデバイスをくるくる回しているひとがいたらかっこ悪いか。

たぶんいちばん似てるのはちんどん屋さん??

太鼓を叩く人って感じ??


「しかたがないんだよキョウちゃん、背に腹は変えられないんだ!!かっこわるくても、俺は!!充電器を!!回す!!」と僕は日曜朝八時のヒーローのように言った。

「なんか、かっこいい風だわ、くるくる回してるけど」

と、カナデが笑っていう。


「魔力を生成してると考えればいいんだよ!!貯めてるんだよ!!」と僕が言い放つ。しかし手はしっかりとくるくる回ったまま。

「何を??」とカナデが笑う。

「何かを!!」と僕が言う。


くるくる、シャコシャコ、回す僕。

さっきの、戦いでうっかり動画を再生してしまい、大事なボス戦で電池を切らしてしまうというミスをしてしまった僕。もうおなじミスを繰り返すことはできない、そう、ヒーローにおなじ技は通用しないのだ。


「いつからヒーローになったのか」

「いまから魔王を倒してなる」

とキョウちゃんが僕の呟きに応える。


「ああ、美少女の魔王ね。倒さないで仲良くできないの?」

「できない」

即答するキョウちゃん。ちなみに美少女だというのは僕の妄想だ。だといいなぁ、ってずっと思ってる。


「うーむ、なにかされちゃったのか、じゃあ、しょうがないか」

と、僕はなんとなく納得する。なんかされちやったらしょうがない。やったらやられる。でもそういう負の連鎖ってたちきれないのかなと考える。シリアスな話をしているが、もちろんシャコシャコ充電器を回している僕であった。


「見えてきたわ!」ヒビキさんがみんなに言う。

ついに僕らは『ギリムウィル』に到着した。

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