第四十〇話『ケルベロス戦決着』
「一気に行きましょう!」
ヒビキさんがみんなに言い。構える。魔法の詠唱に入った。彼女の髪が軽く浮かび上がり光を纏う。その光をケルベロスに向かって指し示す。
ケルベロス1とケルベロス3が、それぞれ攻撃手。
真ん中のケルベロス2を道具使いのキョウちゃんが相手にしている。ちょうどヒビキさんの手が空いているところだった。
「ポイズン!」
毒の呪文をヒビキさんが唱えた。僕とキョウちゃんの間を抜けて、光がケルベロスに突き刺さる。それぞれ、1対1で苦戦していた僕とカナデを助ける形でヒビキさんが『ポイズン』をかけた。
「くううぅゥゥゥん」
と、一瞬、弱い鳴き声を出すケルベロス。しかし、それに騙されてはいけない。その動きはもちろん止まらない。激しい攻撃はまだ続く。
ケルベロスたちは、すぐに持ち直し「グルルルウウウゥゥゥゥ」と唸り声をあげる。襲いかかってくる。ガウガウ、バウバウと。三体の頭で、僕とカナデを同時に相手にし、残り一体はキョウちゃんに吠えている。
「うお、元気だな」
と言いながら、ケルベロスの攻撃を受ける僕。
「ちゃんと元気ね」
いいながら、ケルベロス3の攻撃を弾く。カナデ。
「あ、でも・・・」
と、カナデが気がつく。今までの、ケルベロスとは違う、10%は鈍くなったような感触。さっきよりずっと簡単に動きを追える。
「うん、大分楽になった。」
僕が言う。10%も下がってくれれば、僕らでも行ける。いままでもかなりいい勝負だったのだ。
「よし」
と言うキョウちゃん。
シュタッとナイフが突き刺さり、真ん中のケルベロス2に大メージを与えた。
「ググググウウウゥゥゥゥゥウ」
という呻き声が響き渡る。
「これは一気に行けるわね。」
とヒビキさんが、言う。ヒビキさんの『ポイズン』のおかげで一気に大勢が変化した。
「おおおおおおお」
「うおおおおおお」
と僕と、カナデが鋭い斬撃でケルベロス1と3を行動不能にした。その瞬間全体の足も鈍る。
そこを僕は見逃さなかった。
僕の集中と呼応するように。
『覇竜の宝石』が光りだす。
『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』も光をまとう。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉ」
全身の力を込めた、『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』大きく振り上げ、全身の力をすべてそこに込めて、全力の剣戟をケルベロスに叩き込む。
「グウウウゥゥゥゥゥ」
僕の攻撃、『覇竜の剣 』の攻撃を受けて、ケルベロスが最後の呻き声をあげていた。
そうやって、本体に僕が止めを刺した。
「倒した」
キョウちゃんが、言った。
「おおお、倒した!!」
僕が叫ぶ。スマホなしでしっかりと。僕は確実にちゃんとした勇者に近づいている。そういう実感がたしかにあった。
そう、強力な洞窟のボス『ケルベロス』を倒したのだった。
そして、ここを抜けると次の街『ギリムウィル』だ。




