第三十八話『ケルベロス』
最後に登場したのは『冥府の入り口を守護する番犬ケルベロス』であった。
「最後に凄いのが出てきたわね」
と、カナデが剣を構える。そう、もはや『ビッグアニマルシリーズ』でもない・・・。
「戦闘開始よ!!」
カナデが言った。
僕は、早速『ケルベロス』で検索をする。
「あれ??これ、一発なんじゃないの??」
と僕が言う。すごい記述を見つけてしまった。
架空の動物だから、検索しても意味がないかな、と思っていたのだが、検索すると凄まじいものを見つけてしまった。
「普段は一匹ずつ寝ているが、音楽を聞くと寝てしまう」
僕は読み上げた。そんな素晴らしい弱点が!!これは勝つる。
「キタコレ!!楽勝じゃん!!」
と僕が喜ぶ。なぜなら音楽を鳴らす装置を持っているからだ、この右手に!!!そう、スマホから音楽を鳴らせば、ケルベロスを眠らせることができる。ということだ。
「さすがに、メタルとか聞いて、寝るわけじゃないよね。クラッシックかな」
と、ぶつぶつ言いながら、ケルベロスが寝てしまったという音楽を検索する。するとこういう逸話が出てきた。
「『詩人オルフェウスが竪琴で音楽を奏でて眠らせた。』なるほど、そういうエピソードがあるんだな」
と言う僕。じゃあその感じの曲がいい。
「竪琴ってなんだっけ?」
と、それも検索する。ハープのことらしい。いろいろ勉強になる。
「これは・・・楽勝なのでは・・・」
ここまで、検索して、だいたいの準備が整った、足りないものは何もなかった。スマホで、ハープの動画を検索する。そしてハープの曲も山程出てくる。
たくさん見つかった。適当に選ぶ、一番眠くなりそうなやつを。
「スイッチオン!!」
とスマホをタッチする。
大音量でハープの音楽が流れる。僕ですら寝てしまいそうな美しいメロディが流れる。
さーて、ケルベロス(ワンチャンたち)はどうかな??
ちらっとケルベロスたちを見る。
「爆睡してる!!」
完全なる睡眠。爆睡。ケルベロスたちはぐっすり眠ってしまっていた。
「イエス!!」
とガッツポーズをする僕。
「うはははは、よしよし、このまま抜けちゃおう!!」
「え?いいの?」カナデが聞く。
「うん、いいのいいの!ケルベロス戦終了。いやー大変だった」
と笑う僕。
そう無傷で通れるかと思った、その時、嫌なものが目に入った。
赤く表示される電池残量。
そう、動画再生で一気に電池を消費していた。
そして、音楽が止まる。
「あれ?音楽とまっちゃったよ??」とカナデが言う。
「ア、ハイ。うん。やっちゃいました・・・」
てへぺろ、では済まないよね・・・。
「グオオオォォォォォ」
獰猛な呻き声が響き渡った。
「あわわわわ、す、すいません!!」
と、みんなに謝る僕。こんなところで切れないで欲しい電池!!
「やっちゃったことは仕方がない、そういうこともあるわ!!」
と僕に言ってくれるカナデ、ありがとう。
「倒そう!!」
「うん」
「そうね」
みんなが戦闘態勢に入った。




