第三十二話『蟹の泡』
「うーん、『ビッグキャンサー』の方がかっこ良くない??『ビッグクラブ』だと、なんだか大きなサークル見たいだよね」
と、僕が笑いながら構えた。キャンサーは蟹座のことなんだっけ?と思いながら。
「キャンサーは蟹座のこと」
とキョウちゃんがさっそく教えてくれた。やっぱりそうか。そして、この世界にも星座があるのか、と思った。どこまで共通しているのかは結構気になる。
「蟹」で早速検索する。
すると、スクロールしてもスクロールしても読み終わらないほどの情報が出てくる。
「うーん長い!!必要な情報も特にない感じだ。甲羅が固くて、横歩きくらいか」
と、僕が言っている間に戦闘が始まる。
ガキイイィィィィン、キィン
とカナデと『ビッククラブ』か打ち合ってる。
「おおおぉぉ、ハサミ硬そう!」
「かなり固いわ!!」
と撃ち合いつつ、正面から行くと、防御が鉄壁なので、横から攻撃しようと、ポジションをとろうとするカナデ。
「横に行くとまずい!」
横歩きの蟹に一気に間合いを詰められる。正面の場合は向こうが前に進めないので、常にこちらの間合いで戦える。
「おっとっと、危ない危ない」
と、蟹の横に行きそうだったカナデがパッと戻った。
この世界の住人でも蟹が横歩きするというのは常識だったらしい。
「あとは、ハサミか。ハサミに気をつけて!剣を折られるよ!」
と僕が言う。普通のサイズの蟹でも、ハサミはかなり大きい。指くらいなら簡単に挟まる程度に。巨大ハサミに剣を挟まれると折られてしまうだろう。
「わかってる!わかってるけど、かなり強いよ!両腕で攻撃してきて、防ぎきれない!!」
と言うカナデ、確かにそうだ。二刀流と、一本の刀で戦っているようなものだ、向こうの二回攻撃を受けているだけで、精一杯になってしまう。
「口出ししてないで、参加しろって話だよね」
と言いながら、『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を抜刀する。すると『覇竜の宝石』が光りだす。それに呼応するように、『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』も光りだす。
「いくぞ!」
全身に力が入り、体が軽くなる。若干オーラのようなものをまとっているような気もする。いままでとは全く違う動きに鳴るのがわかる。これが『覇竜の宝石』が持つ魔力。
スパッと『ビッグクラブ』の右の腕を切り下ろす。
「すごい!!」カナデでが言う。
「これでかなり助かるわ!」と二本のハサミと格闘していたカナデが言う。
すると、ついに怒りだしたのか、『ビッグクラブ』が泡を吹き出した。
「蟹の泡だ!!」
さっき検索したときに分かったのだが、ゲームだと毒が含まれてることが多い『蟹の泡』だがとくにそういうことはなさそうだった。だが、足場が悪くなることは事実。これは大変だな、と思った所、声が聞こえた。
「ウインド!」
ヒビキさんが風の呪文で泡をすべて吹き飛ばした。
彼女の魔力は僕らが思っているよりも強力なようだ。
「おお、これは凄い!」と僕は驚く。
「このまま一気にやっつけよう!」構えた僕が飛び出した。




