第三十一話『パワースポット』
「さて、洞窟はまだまだ続くわよ!!先に行きましょう!」
カナデがみんなに言った。さっそく大変な目にあったのに元気なカナデだった。
そして、僕らは進んでいく。
「『ビッグスコルピオン』かなり強かったけど、ボスじゃないんだ?」
と僕がキョウちゃんに聞く。『ビッグスコルピオン』とは、かなりの大激闘をした気がするけど、もっと強いものが出てくるのだろうか。
「ボスは凄いのがいる」
「あ、そうなの?」
キョウちゃんが僕に教えてくれた。
凄いのってなんだろう。序盤のボスって何が出てくるんだっけな、とプレイしたゲームを思い出す。うーん、あんまり思い出せない、よく考えたら、ラスボスとかも思い出せないな、魔王ってそんなに出てくるっけ?
「出口を守るものがいる」
この洞窟を守るボスがいるらしい。そのボスを倒したらつぎの街『ギリムウィル』か。なんだか希望がありそうな街の名前だ。
「へー!なんだろう、インターネットに弱点が書いてある敵だといいなぁ」
と笑う僕。ボスはともかくとして、この洞窟は巨大シリーズという感じもしている。理由はここがそういうエネルギーを持っていそうな感じだからだ。
「ここって、パワースポットっぽいよね・・・」
「パワースボット?」
キョウちゃんが不思議そうな顔で僕の方を見る。
新しい単語には敏感なキョウちゃんだ。
アイテム使いには知識が欠かせないのだろう。
「うーん、そう聞かれると僕も『パワースポット』の定義はよくわからないな。『元気が出る場所』・・・かな?」
「元気が出る?」
僕の大雑把な説明に不思議そうな顔をするキョウちゃん。でも元気が出る意外に説明がまったく思いつかない。なんかパワーが出てる感じしか思い浮かばなかった。
「この洞窟は、光と水が美しくて、なんかそんな感じなんだよね」
と、さらに大雑把な説明を繰り返してしまう。現代人もみんななんとなくで使ってるのだろうな。と思い、検索するか、とスマホを取り出す。
『パワースポット』で検索。
「パワースポット 聖地・氣場友いわれ、生命の源のエネルギーが集中している場所」と僕が読み上げる。
「生命のエネルギー」
キョウちゅんが反芻する。
「やっぱり、そんな感じかぁ」
と僕が、感想を呟く。大体あってた。そして、この説明で伝わるかは謎だった。
「すでに巨大サソリが出てきている。巨大になりがちなアニマルモンスターってなんだっけ、うーん、かに??」と思い出しながら呟く。
と思った瞬間出てきた。
「来たわよ!『ビッグクラブ』よ!」
カナデがみんなに注意を呼びかける。
ああ、やっぱり!!
そこに現れたのは巨大な蟹『ビッグクラブ』だった。
「うーん、『ビッグキャンサー』の方がかっこ良くない??『ビッグクラブ』だと、なんだか大きなサークルみたいだよね」
と僕が笑いながら構えた。キャンサーは蟹座のことなんだっけ?と思いながら。




