第二十九話『連携攻撃』
「了解!よし、一気に行くわよ!」
剣を抜き、カナデが飛び出した。
と、その瞬間、尻尾が動く。
「危ない!」
と僕が、飛び、カナデごと『ビッグスコルピオン』の毒針を避ける。
「あぶなー!」
と、カナデに抱きつき倒れたまま言う。
本来なら、『どこ、触ってんのよ!!』的なラッキースケベイベントだが、いまそれをやっていると、死ぬ。
赤い顔をしたカナデが
「ありがと」
と、僕に聞こえるか聞こえないかのボリュームで例をつげた。いえいえ、どういたしまして。
「ファイヤー」
その瞬間、ヒビキさんが魔法を唱える。
辺りが火炎で包まれる。
「凄いな」
と、ヒビキさんの炎を見て、驚く。
こんなに凄いのか、ヒビキさんの魔法は。
鍋を温めるための、ちいさな火力とは大違い。
「油断しない、まだ倒してない」
と、キョウちゃんが言う。
「なに!?」
煙の中から『ビッグスコルピオン』がこちらを狙っている。効果がないわけではない、確かに動きは鈍ってる。
「こっちこっち」
とキョウちゃんが『ビッグスコルピオン』にいいながら、『投げナイフ』を投げる。
すると、尻尾を振り、柄の部分を弾き、ナイフを飛ばす。
「意外に器用」
と感心している。キョウちゃん。彼女のナイフの腕は確かだ。ブラックドラゴンの目を狙って当てられるほどの
正確さとスピードを持つ。
「そのナイフを、ちゃんとみて、弾くとは・・・『ビッグスコルピオン』毒だけじゃない」と僕。
「うーん、どうしよう。なかなかのピンチじゃないか、これ。投げナイフも炎の魔法も通じない・・・」
「単体で戦ってるから」
と僕の言葉にキョウちゃんが返す。
そうコンビネーションが必要だ。
単体で戦うと分が悪い。
「しかし、炎も耐えちゃうし、ナイフも弾かれちゃう・・・どうすれば・・・ああ、そうか、全部やってる間に僕が攻撃すればいいのか。」
と、気がつく。
「まあ、多少熱い思いをしなきゃいけないっぽいけど」
「というわけで、お二人よろしく」という僕。
「わかった」というキョウちゃん
「え?」というヒビキとん。
「気にせず炎を放てばいいということ」
「え?あ、はい」とキョウちゃんの言葉になんとか理解した様子のヒビキさん。
「これ持ってて!」
と、スマホをカナデに渡す僕。燃えて壊れたから困る。修理に出すことができない。
「ファイヤー」と炎の魔法を唱えるヒビキさん。
シュッと何も言わずにナイフを投げる。
その時『覇竜の宝石』が光る。
「ぬお、体が軽い!!」
キョウちゃんのナイフを弾き、振り払った尻尾によって開いた隙間。つまり頭に向かってジャンプする。
そして
「おオオォォォぉォォォォ」
と叫びながら炎の中に飛び込む僕。
『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を『ビッグスコルピオン』に叩き込んだ。
すると、すごい勢いで振り払われていた。尻尾が、へなっと床に落ちた。
『ビッグスコルピオン』を倒したのだった。
「あちちちちちち」
と、その炎から抜け出し、キョウちゃんが僕を布で叩く。
「炎は移ってないけど、念のため」
と、一瞬だったので炎が移る前に脱出できた僕に言う。
「すごい!倒したわ!!」
その様子を見ていた、カナデが驚きの声を上げた。




