第二十六話『魔力』
ズバアアアァァァァァンという、音ともに、岩が真っ二つになる。
「すげえっ!」店長が叫ぶ。お父さんは「うむ」と頷く。
「いやいやっ、え、えっええええぇぇぇぇぇ?なにこれ!?!?」と驚く僕。
「それが覇竜の力」キョウちゃんが言った。
覇竜の力とは・・・と思ったが。
キョウちゃんの説明はそれで終わりだった。
「『覇竜の力』ってなに・・・いきなりおかしな力が・・・割と、この異世界の世界観、リアル志向だったのに・・・」
と、今までの、ことを振り返って思い出す。重力も一緒だし、いきなり体力が上がるわけでもなかったし。力が弱いなりに知力で頑張ってきたんですが・・・。
「魔力」
キョウちゃんは、ボソリと言う。
「まさか、全部魔力で片付けるつもりなのでは・・・」
「魔力だからしょうがない」
全部魔力で、片付けるつもりだああぁぁぁぁ。
いいのかそれで、いろんな人から怒られるのではないか、異世界警察の方たちとか。大丈夫なのか。
「そもそも、ドラゴンの生体は解明されてない」
「ふむ」
と僕はキョウちゃんの説明を咀嚼して考える。
そもそも元いた世界だって、わからないことだらけだ、なんで磁石がSとNなのかだって分かってないし。科学は単にそういう風になってる『現実』をどう解釈するのか、という技術にすぎない。
「神かもしれないし、ただの動物かもしれない。不明」
「なるほど、心象的なものである可能性すらあるということなんだな・・・」
もうすこし考えてみる。わからないものをわからないまま、受け入れるのも重要だな、と思う。元の世界だってそうだ、なんで重力があるのかも良くわからない。
「まいっか、そもそもリアルな世界に、ゴブリンもエルフも魔法もないわな」
「そう、私達からみたら、十分コータも変」
と、ドキリとすることを言うキョウちゃん。
「なるほど、そういう見方もあるか」
なかなか賢い物の考え方だった。ちびっこのくせに!と笑った。
「気に入ったか?」と店長が聞く。
「めっちゃ気に入りました!いいんですか?これホントに、タダで」
「いや、タダじゃないだろう。ドラゴンを倒した、このナイフをもらったからな、全然こっちの方が得してるくらいだぜ!」
「刃のボロボロで使えなくなったナイフをそんなに喜んでもらえるなら、まぁいいのか、ありがたく頂戴します。どうもありがとう」と僕が店長と鍛冶師のお父さんに言った。
「うむ」と、お父さんが頷く。
「ありがとうございました!!」
と、武器屋を出る僕ら。
「さて、これからどうするの?武器もお金も手に入っちゃったよね、これでもかってくらい、いきなり魔王行く?」
「さすがにそれは全滅」
と即答するキョウちゃん。
「そうなのか。じゃあ、どうする?レベル上げ??」
「レベル上げってなに??」と聞くカナデ。
「うーん、修行?かな」
「そうね、このメンバーで戦えるようにならないとね。」
「じゃあ、とりあえず、洞窟よね!」
と微笑みながら言うカナデ。




