第二十五話『覇竜の剣』
「じゃあ、一休みして、『ドラゴンキラーナイフ』を受け取りに行きましょう。」とヒビキさんが言う。
そう、ドラゴンを素材にした、『ドラゴンキラーナイフ』が手に入るのだった。
「よう、来たか!」と店員さんが出迎えてくれた。あ、店員さんじゃない、店長さんなんだった。
「出来ました?」と僕が聞く。
「出来た、出来た。試し切りしていってくれよ」
と裏を親指で示す。店長。
「これが『覇竜の剣』だ。ほんとはナイフだから、『覇竜の短剣』だけど、カッコ悪いから『覇竜の剣』な」
「えー、ちょっとインチキっぽい!」とカナデが笑う。
「インチキですね、インチキ店長」と僕がついでに言う。
「おい、やめろ!!ネーミングは大事なんだぞ!!」
「ははは、商売繁盛しそうな予感がしますよ」と僕が言う。店長は立派なビジネスマンだった。
「この『覇竜の宝石』も『覇竜』だったね」
と、キョウちゃんに言う。
「うん。揃うと凄い」
「え、そうなの??」
僕は、よく分かってなかった。
「試し切りって、これテレビでみたことある」
と僕が言う。竹に藁を巻いたものだ。
「これよく見るけど、なんで、藁を巻くんだろう」
気になったので、スマホで検索してみた。
『試し切り 藁』で検索してみる。
「中の青竹が人の背骨を、巻藁1つが人間の素肌の腹部を、模する」人体を模しているらしかった。
「なるほど、柔らかいものと、固いものを同時に斬るのは特別な技術ということなんだなぁ」
「そうさ、なかなかできないことなんだぜ」と店長が言う。
「さ、切ってみてくれよ、その『覇竜の剣』で!作ったオヤジも見てるから」と父親を指差す店長。
軽く僕もお父さんにお辞儀する。
「じゃ、行きますか!」
と、試し切りの竹に藁を巻いたものの前に立つ、僕。
「いやいやいや、そっちじゃないから!」
と店長が言う。
「え?普通これに試し切りするでしょ」
「『覇王の剣』がそんなの切れないわけないだろ!!」
という店長。
「え?え?」
言っていることがいまいち分からない。
「こっちだよ、こっち」と巨大な岩を指差す。
「いやいや、ムリでしょこんなの、僕よりでかいじゃん!!」
と、僕の身の丈をこす、巨大な岩を斬れという。
「やってみて」
と、キョウちゃんが言う。
「まあ、キョウちゃんが言うなら」
と僕が『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』を構える。
すうっと息をする。
すると、『覇竜の宝石』が光りだす。
呼応するように、光る『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』。
覇竜の剣が、炎を纏う。
僕はそのまま振りぬき、岩を斬りつける。
ズバアアアァァァァァンという、音ともに、岩が真っ二つになる。
「すげえっ」店長が叫ぶ。
お父さんは「うむ」と頷く。
「いやいやっ、え、えっええええぇぇぇぇぇ?なにこれ!?!?」と驚く僕。
「それが覇竜の力」
キョウちゃんが言った。




