第二十四話『唐揚げの味』
「さあ、これが唐揚げだよ!」
と、みんなの分盛りつけた。昨日のカレーに使っていた、白米のようなものも盛り付ける。やっぱり唐揚げはご飯とセットじゃないと。
「早く食べたい!」
キョウちゃんの目が輝いていた。
「いただきます!」
「いただきます!」
「いただきます!」
とみんなが言う。掛け声があるのはこの世界でも共通らしい。とてもいいことだ、と思う。
順番に唐揚げを食べ始めるみんな。
「ど、どう?」
僕は心配しながらみんなに聞く。
真剣に食べていて、みんなからなかなか返事が来ないので僕は、少し、ドキドキした。
目を丸くする、キョウちゃん。
数秒後やっと口を開く。
「おいしい」
口調はいつものままだが、明らかにテンションが上がっている様子。料理アニメのような、美味しい時に、現れる、天使が、キョウちゃんの後ろに見えた気がした。
「おいしい、おいしい」
と言って、どんどん、口にするキョウちゃん。ヒョイパク、ヒョイパク、と食が進む。
「大丈夫!急がなくてもなくならないから!」
と僕が、注意する、お母さんになった気分だ。
そして、そんなに喜んでもらえたら、単純に嬉しい。
「この熱いうちに食べるのがいい」
と、通なことを言う、キョウちゃん。
「わかってるなぁ」と僕は笑った。
「唐揚げは、熱いうちに食べないとだよなぁ」と笑う。
「やけどしないようにね」と注意した。
「こんなに喜んで貰えるとは、インターネットバンザイ!」またもやインターネットに感謝した。人類の叡智。地球の記憶。インターネット。味付けは、間違ってなかったようだ。ちゃんと、味も着いて、サクッとジューシーに仕上がっていた。言われたとおりにやれば出来るものだなぁ。
「うまーい!」
とカナデが言った。口からレーザー光線を出して、城を壊しそうな勢いだそういう映像が僕の脳内にあらわれた。昔そういうアニメがあったのだ。MADアニメで見たことがある。
「おいしいわ!!」
さらにヒビキさんまで、テンションが上がる。
最近の料理漫画だと、肌色率が上がって、とんでもないことになるのだけど、残念ながら、そういう映像は見えてこなかった。
「残念だ・・・」とぶつぶつ言っている僕に、
「何を言ってるの?」と突っ込むカナデ。
「こんなカリカリした食べ物があるなんて」
とキョウちゃんは、感動の様子を僕に伝えてくれた。
「これは、神の食べ物」
「そこまで・・・」と言って笑う。
「ほんとに美味しいわね」とヒビキさんも言う。
「喜んでいただけて、幸いです」と僕。
「なんでもできちゃうのね、コータは」
とカナデが言う。ありがとう、それはインターネットのおかげだけ。
「じゃあ、一休みして、『ドラゴンキラーナイフ』を受け取りに行きましょう。」とヒビキさんが言う。
そう、ドラゴンを素材にした、『ドラゴンキラーナイフ』が手に入るのだった。




