第二十二話『力仕事』
「オホンッ」とカナデがかるく咳をする。
「私の出番が来たようね!!」
と、腕まくりをするカナデがそこにいた。
「え?やってくれるの?」と僕が言う。
ページをフリックして、さらっと内容を確認する。
じゃがいもを、かなりの量すりつぶすというという作業がある。
「これ、けっこう大変っぽいけど」
と僕はジャガイモから片栗粉を作るページをさらに見ながら言う。どのくらい必要なのだろう。仕組みはそんなに難しくないようだ、ということは分かったのだけど、量がいまいちわからない。
「『ジャガイモ200gから、16gの片栗粉』が出来るらしい。ジャガイモ200gって何個分なの??」
料理をあまりやらないので、あれもこれも分からない。でも、レシピ通りにやると、なんとか料理は作れるらしい、ということを聞いたことがあったので、頑張ってみる。
「こういうのがわかりづらいよな〜」
と言いながら『じゃがいも、グラム』で検索する。
重量計があるといいんだけどなぁ、と思った。重量計って作れるのかな。とおもったけど、今は置いておいて、検索の結果表示を待つ。
「Sサイズ、50g、Mサイズ100g、Lサイズ150gらしい。とりあえず100gで計算しよう。」
と頭を整理する僕。
「つまり、200gは、じゃがいも2個分」
パチンと指を鳴らす。無理やり自分のテンションを上げる。やっていると楽しくなる。
「お、わかった?」とキョウちゃんが目をキラキラさせてこちらを見ている。頑張る!僕頑張るよ!
「じゃがいもの重さはわかった。唐揚げに片栗粉どのくらい必要なんだろう。大さじ3杯!大さじっ一杯って何グラム!!単位統一して単位!!」
と僕が、うがー、っと叫ぶ。
「大変なのね」と、にっこり微笑むヒビキさん。
「が、がんばります!」と言う僕キョウちゃんと約束しちゃったから、がんばります。
「大さじ 一杯 グラム」で検索した。
「大さじは15gくらい」らしかった。
「つまり大さじ、三杯だと、ジャガイモ6個か」
「ジャガイモ6個もある?キョウちゃん!」
と僕がキョウちゃんに訊ねる。
「ある」
と、取り出すキョウちゃん。
「カナデは、これを潰して、潰して、かなり大変だけど」
「オッケー」っと微笑むカナデ。
「カナデちゃん、これ使って」とそれらしい道具を渡すヒビキさん。ヒビキさんは、いつもみんなの料理を作ってくれているっぽいので、話を聞いてなんとなく、なにをやろうとしているのかわかったんだろうな、と思った。
「ほっ!よっ!」
とリズムよくジャガイモをつぶしはじめる、カナデ。
体を動かす作業のセンスはピカイチなようだ。
すごい速さで進んでいく。
「すごいな、僕がやったら、何倍も掛かりそうだ」
と、鶏肉の下ごしらえの方を進める。
「できたよ」と、カナデが潰したジャガイモもらい、こして、片栗粉をつくった。
一通り準備が終わってメインイベントに移る。
「さぁ、揚げますよ!」と僕が言うと
「揚げ・・・る・・・?」と目を輝かせるキョウちゃんがそこにいた。




