第百五話『触腕(しょくわん)』
「でも、久しぶりの強敵で、楽しくなってきた」
と僕は、『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』をもう一度構えた。
構えて僕は、クラーケンと距離を取りつつ、出方を伺う。
相手が攻撃してくれないと、攻撃ができないからだ。
しかし、なかなか、攻撃してこない。
相手もこちらの出方を伺っているのだろうか。
10本も足があるんだから、ビシバシ攻撃してくればいいような気もするが、慎重になるような何かがあるのだろうか。
「ふむ、こういう時は、検索ですな」
と、スマホを取り出して検索を開始する。もちろんクラーケンの動向はちらちらと確認する。ただ、こちらには戦闘できるメンバーが僕以外に3人もしくは4人いる。ハーデスちゃんをどちらにカウントするのかは議論の余地があるだろうけど。
そして、検索した。
「クラーケン - 巨大なタコやイカのような怪物」
と表示される。
「あら、ザックリした説明!!」
と僕がスマホに突っ込む。ネットの情報は細かい場合と大雑把な場合があって、はずれを引くと結構時間がかかってしまう、それがネットの難しいところだな、と思う。
「タコの場合もイカの場合もあるんだ!!」
と僕は驚いた。すっかりイカのイメージしかなかった。読んでいる漫画に偏りがあるのだろう。いろいろ勉強になる。しらないことって一杯あるんだな・・・。
そして、島と間違えられる。という定番エピソードもしっかり乗っていた。それさっきちゃんとやったわー。定番エピソードしっかりやったわー。
「そして、弱点らしき情報ゼロ・・・」
まったくもって、情報なし。分かったのは、クラーケンは、大きいタコかイカです。そして、島と間違えちゃうよ!!ということだけだった。
「うん、もうそれ知ってるから!!」
と、突っ込む。こう、もっといい感じに教えてほしいわけよ、クラーケンの弱点を!ケルベロスに音楽聞くと寝ちゃいます!みたいな、すごくいいやつを!!と思いつつブツブツ突っ込んでいた。
「コータはぶつぶつうるさいのぅ」
と、ハーデスちゃんに言われた。す、すいません・・・。でも、みんなの為なんですよ?あそんでるわけではないんです!決して!!
「あ、わかった。イカで調べればいいのか!」
と僕は思い付いた。明らかにイカだもんねあれ、ただの巨大イカであれば、イカの弱点がそのまま、クラーケンの弱点になるはずだ。
「イカ - 海生軟体動物の一群。10本の腕を持つ。実際の腕は8本。2本は『触腕』この触腕を伸縮させて魚類や甲殻類を捕食する。」と読み上げる僕。
「あ、これは大きい大きい情報なのでは!!」そして僕が言う。
「コータ、どういうこと??」とカナデが僕に聞く。
「つまり、攻撃用の腕は2本だってこと!!」
と僕は簡単に説明した。
10本の足でビシバシ攻撃してこないのはこういう理由か。
「これは割と速く決着付きそうだな」
僕は、スマホをしまい。『覇竜の剣 - ドラゴンキラーナイフ』をもう一度構えた。




