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第百二話『蒸気船のスピード』

ついに僕らの船の名前が決まった。

『新大陸号』それが僕らの船の名前だ。


「よーっし決まりね!!『新大陸号』どんどん行きましょう!!」

とアイリーが蒸気船『新大陸号』をさらに進めた。


「ところで、新大陸ってどこにあるの?」

と、超基本的な疑問を口にする僕。

実はそのことすらよく分かってなかった。

ノリで行動する僕達である。


蒸気船を運転しながら、アイリーが答える。

「東の方角にある、という情報しかないの。だからこの方位磁針で、東の方向に進んでいるのよ」

と、方位磁針を指し示す。ほんとうに基本的な機能しか持たない、方位磁針だ、磁石を軽くして浮かべたただけのものだろう。そんな少ない情報でたどりつくのか・・・と思ってしまった。


「おー、そんなかんじかぁ、まさに大冒険。フロンティアを探しにいく感じなのか」

そんなアナログなのか。と僕は思った。


衛星写真も、GPSもなにもないのか、そんな状態で、目的地に行くことって可能なのか・・・と。

すっかり、スマホに位置情報を入れて、行くということに慣れすぎてしまった、現代っ子の僕だった。


まあ、何もわからない状態で、どこかに向う、それも楽しそうだ。


「たとえば、この船でアメリカに行く場合どのくらいの時間がかかるんだろう」

と僕は気になった。早速調べてみる。


まずは、「蒸気船 速度」で調べてみる。

かなり速いもので、6.7ノットらしい。

速いのか遅いのかさっぱりわからない、なんにもわからなかった。


「ノットってなに・・・」

うん、ノットがわからないよね。

と思ってさらに検索してみる。


「ノット - 1時間に1海里進む速さ」らしい。

「海里ってなに・・・」

うん、海里もわからないよね。


などと検索を続けて結果、なんだかんだで

1ノットは時速1.852kmのことらしいということがわかった。


つまり、6.7ノットは、8.552km/時間のことらしい!


単位統一して欲しい、難しいよ!!

ここまで調べるのに大分スマホのパワーを使った。

検索に、計算機に、メモアプリに。

紙がなくてもこれができてしまうというのがスマホの素晴らしさだけども。


「随分ゆっくりなんだなぁ。」

ただ、ここにのってる船はもっと大型のものだから、それよりは速いかもしれない。


アメリカまで掛かる時間を調べるとなると、

さらにアメリカと日本の距離で割るという作業をしないといけない。


それは大変すぎる。


そこで、はた、と気がついた。


「あ、わかった。黒船で調べればいいのか!」

と気がつく。蒸気船で来たんじゃなかったかな、あのひとは。


検索した。


1852年11月24日; ヴァージニア州、ノーフォークを出発

1853年 7月 8日 ;浦賀に到着(和暦では6月3日)


「うわっ、そんなにかかってるんだ・・・226日」

なんと半年(182.5日)以上かかっている・・・。

ちなみにスマホで計算した。


「新大陸が、日本とアメリカほど、離れてないことを願う!」

と僕は天にお願いした。


「長い船旅になりそうだけど、楽しんでいこう!」

僕はみんなに言った。

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