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ポンコツヒロインシリーズ

転生ヒロインになりましたけど、辞退の方向で……

作者: 紫音

 ……皆さんは転生と言うものをご存知ですか?


 私は言葉では知っていました。

 と言うか、むしろ、そんな事があったら良いなとか妄想もとい夢見ていました……


 転生して剣や魔法を振りかざして魔王を倒して勇者とたたえられる。

 ゲームのヒロインになって逆ハーレム?

 最近は悪役ヒロインに転生しても自分の平和のために突き進むと言うのもありかと思っていました。


 夢は叶わないから夢とも思っていました。

 現代日本を生きていた小市民ですし、消費税も高いし、ガソリン代も下がらないし、新聞がいろいろとねつ造しようと隣国がねつ造に乗っかって騒いでようがそれは対岸の火事であって、一日、一日を堅実に生きて行く事が幸せだとも思っていました……

 そう思っていたんです。





 ……自分の身に起きるまではですけど。



 ……現実逃避をしていても仕方ないよね?


 

 私こと、ミリア=アメジストはこれから三年ほどお世話になるであろうフィーリア王立魔法学院の前に立っています。

 フィーリア王立魔法学院はあれです。

 王族、貴族の子息だけではなく、多くの才ある者達を集めて未来の国の政務を取り仕切るような者達を育てると言う建て前で作られました。

 建て前です。実際は王族や貴族の婚約者を探させたりする様なよくある設定の学校です。


 なんと言うか、そんな学校に私は今日から入学する事になりました。

 なぜ、そんな事を知っているかって?

 

 それはほら、冒頭にも言いましたけど転生と言うものをしてしまいましたので、知っているんです。

 以前にやった事のある乙女ゲームの世界ですから……


 世界観としてはよくある中世ヨーロッパ的なあれです。

 騎士がいてドリルのような髪型をした令嬢がいる世界です。

 嫉妬でハンカチをかんでキーとか言っている令嬢がいる世界です。

 後、魔法もあります。

 個人的には中世ヨーロッパより、侍とか忍者とかの方が好きです。


 ……話がずれました。

 

 その中で私は庶民として生まれながらも魔法の才能を持ち、多くの攻略キャラとハッピーエンドを迎える事の出来るヒロインに転生してしまったりしています。


 ヒロインです。

 ヒロインなんです……気が重いんです。


 ヒロインなのになぜ気が重いって?

 それはこのゲームの攻略キャラを狙うにはお約束なライバルキャラと言う人達がいます。

 どの攻略キャラも権力を持っている家の後継者のため、ハッピーエンドを迎える時にライバルキャラはヒロインに嫌がらせなどをしていた事が露見し、断罪されてしまうんです。最悪、処刑されてしまうライバルキャラもいます。


 昔、ゲームをやっている時はゲームだから気にしていませんでしたが……

 今のこの世界は私にとっては新しい現実です。


 正直、ライバルキャラの死の上で自分の幸せが成り立つと考えた時に素直に喜べない私がいます。

 そこまで割り切れないんですよ。

 先ほども言いましたけど、元々が小市民なんです。特に才能などもなかった庶民なんです。

 私の行動で誰かが死ぬなんて考えた日には胃に穴が開きます。夜な夜な悪夢にうなされます。

 だいたい、この世界のヒロインとは言え、元々が小市民の私がゲームの攻略キャラのようないろいろと濃い人達と幸せになれるわけがありません。

 本当につくづく思います。前世の記憶なんてなければ良かった……それなら、才能で特待生として入学させて貰ったこの学校できゃはは、うふふとしながら自分にだけ、都合が良く起きるラブイベントを謳歌して生きて行けたのに。


 そうやって、グダグダと悩むなら変える努力をしてみろよ。とかも思いますよね?

 私も当然、思いましたよ……でもね。いろいろと試しては見たのですけど無事に入学する事になってしまいました。

 やはり、ゲームの世界と類似していると言う事でゲーム補正と言うものがあるのかも知れません。

 ただ、それでもゲーム設定とまったく同じにはならなかった事もいくつかあるので努力次第で何とかなるのかな?


 そう言う儚い希望を持ちながら、本日、この門をくぐります……


 そう言えば人の夢は叶わないから、儚いと……止めましょう。後ろ向きはだめですよね。

 きっと希望はあるはずです。そう信じましょう。


 とりあえず、当面の目標は攻略キャラとライバルキャラに目を付けられない事です。

 私は小市民、目立たずに生きて行こうと思います。















 ……入学式の前はそう思っていましたよ。


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