行方を追ってしまおうか
いつの間にいなくなったのか気付けばソレはいなかった。
頭の中を探しても心の中を探してもどこにもソレはいなかった。
どこに行ってしまったのか僕は旅に出ることにした。
色んなところを探してみた。
懐かしい場所。
哀しい場所。
優しい場所。
僕の場所を隅々まで探した。
時に笑い、時に泣き、時に立ち止まりたくなった。
それでも僕は探し続けた。
何を探しているのか僕にも分らなかった。
小さいものだっただろうか。
大きいものだっただろうか。
形すらないものだっただろうか。
でも、確かになくしてしまったものがある。
探しているうちに不安になった。
くたくたに疲れた。
何度も諦めたくなった。
もういいじゃないか。
なくしたままでいいじゃないか。
でも、確かになくしてしまったものがある。
僕は探し続け、何とか1つの扉を見つけた。
重く開けにくい扉を開けると中にはソレが入っていた。
僕はソレを持ち上げた。
なんだ、なくしたものはこれだったのか。
思い出して思わず笑ってしまった。
僕の中にそれを戻してあげた。
重くて苦しくて面倒くさくて仕方ない。
でも、僕にはソレが必要だと思った。